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内容説明
南シナ海や尖閣諸島をめぐる動きなど、中国の強硬外交を不安視する向きも少なくないだろう。しかし習近平を最もよく知る元中国大使の著者は言う。2009年から2016年まで続いた中国の対外強硬姿勢は軌道修正された、と。実はこの方針転換は、習氏の第二期政権の幕開けを告げた第19回中国共産党大会における習氏の発言にも如実に表れていた。中国はなぜ対外強硬路線を選び、そしてなぜ転換せざるを得なくなったのか。天安門事件以降の混迷、リーマン・ショック後の増長、左右の内部対立まですべて踏まえ、著者だけが知り得た情報を基に中国外交の行方を分析する。 【目次より】◆2008年のリーマン・ショックと中国の“舞い上がり”/◆対外強硬姿勢に傾くきっかけとなった胡錦濤講話/◆中国はなぜ海洋進出を図るのか/◆常設仲裁裁判所の判断の波紋/◆中国外交のどこが間違っていたのか/◆対外強硬路線からの方向転換/◆対北朝鮮政策の調整
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hatann
4
全権大使を含め3度の北京駐在経験を有する著者の地に足のついた語りがためになる。2008年のリーマンショック後に強硬路線派が台頭したが、習政権になり元の協調路線へ揺り戻す調整のピークが2016年ごろまで続いたと分析する。理屈っぽい共産党内部では物事の基軸を決める調整に時間がかかるのだ。国際的な紛争では全ての当事国に理屈があって白黒の世界ではない、平和的解決の基本は妥協にあると喝破する。妥協であるが故に内部者からの事後的な批判に晒されることは世の常だ。反腐敗運動などで基盤を固めた習政権第2期に注目したい。 2018/09/01
省事
2
2017年秋の第19回党大会を踏まえて刊行されたもの。特に90年代以後の中国指導層の外交路線に関する公的言説を整理して、リーマン・ショック以後、徐々に強硬論に振れていった中国外交が、2016年の南シナ海判決などを経て路線転換を模索しており、穏健化する可能性もあるとの見通しを提示している。一方で「核心的利益」への固執がある限り、最強硬化の可能性があることを示唆している。2年強経った現状では中国外交の転換は感じられないが、これがトランプ政権の対中政策など外在要因によって生じたのか、論じる価値があると言えよう。2020/05/23
トラ
2
文章は平易ですが内容はなかなか難解でした。読み応えがあり、じっくりと腰を据えて読みました。鄧小平について長く文章が割かれているので、彼のことに触れるきっかけになりました。習近平自身は少し落ち着いた外交をしたいが現場がなかなか彼の思惑通りに動いてくれない、ということが分かりました。さて、どうなることか2017/12/31
竜玄葉潤
1
中国本は、良い国か悪い国という目線の本が多いけど、その意味でこれは良い本。今の中国の外交は、戦前の日本やドイツのやり方で、日本はその時のイギリスやソ連の立場と感じていたけど、この本からはその通りだと読める。ただ、今の中国はそれを理解してその後に日独がどうなったかを知っているようだ。そこは期待してよいかも、ただタカ派に流される可能性も。2017/12/13
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