内容説明
◆考古学ではわからなかった「世界史」の最先端◆
ヒトゲノム計画以降、急速な進化を遂げたDNA解読技術によって、
私たちは数万年前の人類のゲノムも抽出・分析できるようになった。
それにより、遺骨や遺跡の存在が不可欠だった従来の歴史学は一変。
ゲノムの痕跡を辿ることで、骨さえ見つかっていない太古の人類から
現在の私たちへと繋がる、祖先の知られざる物語が解き明かされた――
・ホモ・サピエンスはネアンデルタール人と何度も交配していた
・DNAにのみ痕跡を残す、知られざる「幻の人類」が発見された
・狩猟から農耕への移行を加速させたのは、二つの突然変異の出現だった
・現存する全人類の共通祖先は、わずか三五〇〇年前、アジアにいた
・ヨーロッパを二度襲ったペスト菌はどちらも中国からやってきた
【目次】
■序 章 人類の歴史はDNAに刻まれている
■第一章 ネアンデルタール人との交配
■第二章 農業革命と突然変異
■第三章 近親相姦の中世史
■第四章 人種が消滅する日
■第五章 遺伝学は病気を根絶できるか?
■第六章 犯罪遺伝子プロジェクト
■第七章 ホモ・サピエンスの未来
■解 説 ゲノムで辿る日本人のルーツ 篠田謙一(国立科学博物館人類研究部長)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
29
実に堅実な内容だった。ゲノム研究であろうと、万能なはずもない。過度な期待も、早計な失望も無用。何と言っても学なのであり、分かったことも少なからずだが、分からないことも山ほどあるのだ。読めば読むほど、ゲノム研究から見えるものへの期待と、過大な期待への戒めを感じた。 本書の末尾に、篠田謙一氏の日本に焦点を置いた説明が載っていて理解に資する。ただ、同じ同時に、篠田謙一氏は欧米に比べ、日本のゲノム研究の体制の遅まきぶりや弱体ぶりをも強調されていた。 2018/01/03
スー
21
140我々の中にはネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子が残っている。先にアフリカを出てヨーロッパに住んでいたネアンデルタール人とデニソワ人に我々の祖先は出会い交配した、ひとりふたりではなく集団での交配でどういう状況で起きたかは不明だが確実に我々の中に遺伝子を残した。少し読みずらい本でしたが遺伝子の旅を感じる事ができました。ネアンデルタール人とデニソワ人が我々にどんな影響を及ぼしたかを知りたかったけどあんまりその部分はなく残念でした。しかし遺伝的には人種間の違いは少なく親の成長した環境やタバコが子に影響を2020/10/11
秋良
15
訳のせいなのか、本人の文章のせいなのか、私の頭が悪いせいなのか(これが一番有力)、読みづらく分かりづらかった。例え話で余計に分からなくなったり。ゲノム解析の技術が進歩したことで、今までは骨の形や周囲の状況でしか推測できなかった古代人の世界が、より確実に定性、定量できるようになったことを説明する前半。リチャード3世の遺体発見が面白かった。後半では「あれは遺伝だから」と遺伝と人間性を軽率に結びつけることへ警鐘を鳴らす。それでは骨相学と変わらなくなってしまうと。出版されてからの10年でどう変わったか気になる。2025/03/11
わたなべよしお
12
まずは、翻訳がひどい。同じ翻訳家の本を読んだことがあるから、大丈夫と思っていたが、僕には意味の取れない文章がたくさんあった。いずれも7500年以上前の人骨といいながら、次の段落で、そのうちの一人は5000年前の農婦などという記述もあり、どうなってるのか、と首をかしげた。後半、少し読めるようになった。まぁ、ゲノム学の現状が幻想を抱かず、正直に書かれてあって、こんなものだろうなと、私も正直にそう思った。2017/12/31
マーブル
7
ゲノムの解析により、人類の歴史を見る目は大きく変わった。骨や遺物、埋まっていた地面の当時の環境の類推と言ったおぼろげな、蜘蛛の糸を手繰るような研究の積み上げから、ゲノムに残された痕跡から膨大な情報を得ることができるようなになった。 人類がどこで発祥し、いつ頃どこへ移動し、どんな風に交雑を行い、そして世界各地に広がって、今の形になったのか。 これまでの定説を裏付ける結果も出れば、定説を覆す場合もある。思ってもみなかった事実もそこには書き記されている。2019/09/23
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