内容説明
旧幕府軍とともに戊辰戦争を戦い、映画「ラストサムライ」のモデルになった男・ブリュネ!
?幕末、日本に軍事顧問としてやってきていたフランス陸軍士官、ジュール・ブリュネ。いわゆるお雇い外国人だった彼は、徳川幕府の精鋭部隊、伝習隊の指導にあたっていた。
大政奉還が行われ、江戸幕府の終焉とともにブリュネらも解任されるが、このあと明治新政府軍と旧幕府軍の衝突があることを知った彼は、日本に残り、自らが育てた伝習隊を指揮して新政府軍と戦うことを決心する。
陸軍士官を辞任するという手紙を残し、土方歳三、榎本武揚、大鳥圭介らとともに箱館に向かうブリュネ。彼を動かしたのは、土方歳三や伝習隊の教え子に教えられた、士道(エスプリ)だった。
後年、フランス陸軍官房長まで務め、日清戦争時の日本への貢献を認められて勲二等旭日瑞宝章を授けられた希代の軍人の精神を描いた感動大作。
解説:本郷和人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
面白かったです。フランス人の立場から戊辰戦争が描かれていました。鳥羽伏見の戦いの後、帰国命令が出たにも関わらず、己の意志で戦争に身を投じていくブリュネの姿に感動させられました。ラスト・サムライのモデルがいたことを初めて知りました。2021/03/31
てぃと
6
今までに榎本、土方、大鳥、それぞれが主人公の小説を読んできましたが、今回はそれらの小説に必ず登場していた幕府軍のフランス軍事顧問ジュール・ブリュネが主人公の小説。フランス人目線の戊辰戦争の描かれ方は何とも新鮮で、仏英を主体とした欧米列強の思惑も色々と描かれていて、幕末の日本が複雑な状況であったことが容易に想像できます。フランス人気質というのでしょうか、ブリュネらフランス軍事顧問団の気概はサムライのそれに近くて、とても親近感が湧いてしまった!2025/11/26
jin
5
最近上映中の幕末映画にもでていたジュール・ブリュネが主人公 エスプリを重んじるブリュネは読んでいて好感が持てる設定で、またフランス人の視点から幕末の政治情勢と日本人の気質を解釈して描いているので、他の幕末を題材にした小説とは異なる読み応えがあると思います。 2021/10/18
汲平
4
箱館戦争に身を投じたお雇いフランス人の軍事教官ブリュネ。奇跡的にどの国の植民地にもならずに幕末の動乱を乗り切った日本。その背景で交錯する諸外国の思惑。政治的な駆け引きと鮮やかな対比をなすブリュネの一本気が光りますが、歴史の流れの全体像からその行為の評価は難しい。物語としては心躍る大活劇で十分に楽しめました。2017/12/31
西村章
4
徹頭徹尾、侠気の物語である。江戸幕府軍事顧問団から鳥羽伏見の戦いを経て五稜郭へと身を投じるジュール・ブリュネも、彼と行動を共にする榎本釜次郎や大鳥圭介や土方歳三も、登場人物たちの義侠心と心意気がページをめくるたびに滾々とあふれ出してくる、熱いアツい入魂の物語でありました。近世日本最大の内戦である幕末から箱館戦争までの時代を描いた近年の小説作品では、船戸さんの『新・雨月』と本作が双璧、といってもよいのでないかな。佐々木譲さんの『武揚伝・決定版』も近いうちに読もう。2017/12/31




