内容説明
貧乏御家人の入り婿となった片岡直次郎は、黙っていても女が貢いでくれる色男。が、病弱で世間知らずな美しい妻あやのを養うためなら、ゆすりたかりも厭(いと)やせぬ。ご存じ悪徳坊主・河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)、剣客・金子一之丞、商人・森田屋清蔵、やくざ者の丑末(うしまつ)に吉原の遊女・三千歳(みちとせ)ら6人の悪党が繰り広げる痛快大江戸ピカレスク。
目次
罪な女
忍び逢う
みそっかす
逃げた魚
喧嘩屋市之丞
逢引上手
思案のほか
川の流れ
のるか、そるか
一期一会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六花の雪
3
結末にちょっぴり不満。勝手にこの後の物語を想像してみるのも楽しい。解説は児玉清さん。2015/01/31
はちくま
2
三千歳にターゲットロックオンして読もうと思ったら、あれ?あれれ・・・?でも、あやのさんの可愛さっぷりが半端なかったからいいや。しかし、男のプライドってのは厄介だねえ・・・。2013/04/28
ひまり
1
直次郎って、強請、たかり、博打三昧で、結構なろくでなしなんだけど、現代と違って一切セーフティネットがない上に、経済的に破たんしてる武士の俸禄制度。そこに天然で病弱な妻。「背に腹が替えられない」とか「惚れた弱み」といった言葉が浮いたり沈んだり。やるせない話なのに、どこかコミカルでした。あやののキャラはキモだと思うけど、父や夫の苦労を全く察することもないのは、浮世離れというより………と、私はあまり好きになれませんでした。2014/07/17
沼田のに
1
北原亞以子はどうして究極のお人よしが描けるのだろう。お人よしの発想でないと思いもよらない言葉がでてくるように思う。思うが悪人も出てくるんで悪人でもあるのか?山崎豊子に性悪を描かせたら天下一品だし発想が凡庸な俺には及びも着かない。得意技の違いかな。寒いから大声をあげて耐えるとか「火の玉は黒」も凄い発想だと感心しながら笑った。8/102013/07/14
けいちか
1
元ネタ知らずで読み始めたが、それぞれの人物像がしっかり書き分けられていて、ただし登場人物が多過ぎて今一つ把握できないまま最後まで来た感じ。あやのを登場させたことによって、すっかり調子が狂った主人公が微笑ましい。2012/08/25