内容説明
元みずほ銀行マンの著者が、日本組織の病巣を鋭くえぐる金融サスペンス! 2011年3月、東日本大震災義援金の振り込みが集中し、ATMのシステム障害を起こしたミズナミ銀行。その2年後、コンプライアンス統括部の行員が何者かに殺害された……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
池井戸さんももと銀行員ですが、早くやめたので作品はエンターテイメント系が中心となっていますが、江上さんはかなり支店長もされて、日本振興銀行にもかかわった人なのでかなり銀行業界の表と裏あるいは権力抗争についても知っているので、読んでいて楽しめます。あるメガバンクをモデルにしているのはすぐわかりこの人物は誰だろうと想像するのも楽しんで読みました。そこに殺人事件を織り込んでいるものの実際にあったようなことも書かれているのではないかとおもわれます。また映画化されると面白いですね。2017/11/20
じいじ
96
都市銀行の管理職を辞して作家へ転身した著者が、古巣の巨大金融界を暴いた小説は面白くて一気読みした。精通した銀行の裏側が克明に綴られ、その緊迫感が伝わってくる。銀行を喰い物に骨の髄までしゃぶりつくす総会屋・暴力団の手練手管がリアルで面白い。頭取の引責辞任から始まる物語。再度の返り咲きを狙う男の、反逆役員への復讐が本筋見所だろう。苦言ひと言。話を広げ過ぎて登場人物が増え、焦点ボケを感じた。テーマを絞って厚みを出してほしかった。でも、初読みの江上剛のビジネス小説は面白かった。他の作品も読んでみたくなった。2018/02/02
Walhalla
26
いわゆる「青」の銀行・フィナンシャルグループがモデルの作品です。著者の江上剛さんは、そこの元支店長に就かれていた方ですので、作品中で濃く描かれているたすきがけ人事も、完全に架空の物語という訳ではないのかも知れませんね。物語は、2011年に発生した大規模トラブルから始まりますが、復旧よりも人事の争いに一生懸命になっている様子は、銀行の存在意義すら忘れてしまっているようですね・・。それにしても、夜間バッチがコケるというのは、システムエンジニアにすれば最も嫌な事態のひとつですよね。2024/10/25
はやぶさ0821
2
3銀行が合併し、その主導権争いの中で殺人事件が起こる。主導権争いの様子だけではあまり面白くないが、殺人事件が絡んだことで少しは話が面白くなってはいるが、ちょっと題材の割にはショボい内容に留まった感じ。次に読む作品に期待したい。2018/11/09
kobaton
2
腐敗!人の道を逸れてまで守らねばならぬものってなんだ?罷りなりにも高等教育を受けた者なら、そんなものないはずだし、そんなつもりもないはずだ。それでも腐り切った行動を選択するのは、価値基準が世間一般のものとかけ離れているからとしか思えない...江上さんの銀行残酷物語。いくらなんでも大袈裟な...と、何度も途中で投げ出したくなったが、結末が気になって最後まで読み通した。どれだけ足を引っ張り合うんだよ、現実にはあり得ないだろ、というのは認識が甘いらしい。事実に根ざしているらしい事が解説で分かる。頭から腐るだな。2018/03/12