内容説明
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一九六〇年代以降、物象化論に立つ思想家としてこの国のマルクス主義理論をリードした著者が、『資本論』の示す哲学的新地平を価値論において解く。価値とは人間労働が生産物に凝固したものか?あるいは商品交換のなかで定まる価格同然のものか?この対立を端的に乗り越え、社会的分業の協働連関態こそが、個々の商品を価値として通用させる所以を解き明かす。増補版の待望の再刊。
目次
序破章 端初的商品規定と価値実体(『資本論』の論理的出発点をめぐって
ヘーゲル弁証法の端初論と展開の論理
「商品世界」の与件と価値の実体規定)
第1章 問題論的背景と価値形態論(「価値形態論」の直接的諸課題と射程
「価値」の実体論的規定と形態的規定
『資本論』における価値形態論の所説)
第2章 物象化論の視座と価値規定(「価値形態」の対自・対他的四肢構造
「価値」の「実体論的」規定の再措定
「価値存在」の特異性と商品論の視圏)
第3章 物神性論と商品世界の構制(「商品」の「物理的性格」とその秘密
「交換過程」論と「商品世界」の矛盾
『資本論』における商品論の論理構成
暫定的定位-拾遺と補説のために)
増補 ルービンの問題に言寄せて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
9
『資本論』を読んだあとなので、なんとかわかるかと思つたが、夥しく付箋は貼つたものの、『経哲草稿』の哲学部分の知識が十分ないため、字面を追ふだけで精一杯であつた。議論の複雑さに加え、久しぶりの廣松渉文体に馴染むまでの時間もまた十分でなかつた。2025/01/17
小島輝彦
4
自分の中に今まで無かった言葉が、どんどん入ってくるようだった。
Happy Like a Honeybee
2
価値として、すべての商品は一定分量の凝固せる労働時間に他ならない。商品の物神的性格は少しイメージが沸いてきた。商品崇拝とは?交換社会意識における、経済的事実の特殊な転倒である。実際には人間自身の関係である多様な関係が、人間労働の産物にすぎない商品に帰せられることである。物を安く買うのが目的で薬局のポイントカードを作ったが、ポイント収集に熱をあげて高い品物を買ってしまうような?2014/10/05
HIDENORI
0
『資本論』の価値論を、投下労働価値説や唯名論的な貨幣標章視ではなく、価値の物象化で捉えている。マルクスは、商品分析から始め、ヘーゲルの疎外論を対自的に捉え返し、四肢的存立構造により価値形態論および交換過程論での矛盾を超克し、物象化論を暗に示す。この弁証法における主体は商品世界となる。商品が存在するのは生産物の交換が成立してからであり、その前には存在しない。資本論が商品の分析から始まる端緒論的問題は、商品を社会的客観的現相から即自的とらえた後、対自的に捉え返し、価値と使用価値との矛盾を止揚する構成を取る為。2014/10/19
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