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内容説明
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若い頃から晩年まで、漱石の戦争に関わる言説を網羅的に収集して変遷を辿り、その特質に迫る。かつてはメディアや「国家主義」への囚われから不適切な判断や表現をしてしまった漱石はその後、内なる「国家主義」をどのように克服し、戦争の悲惨への、独自の認識を深め得たのか?「国家主義」から「個人主義」へ-近代知識人の、戦争との闘いの軌跡を追う。
目次
漱石と日清戦争
漱石と義和団事件・南アフリカ戦争
漱石と日露開戦
『吾輩は猫である』(一)「幻影の盾」と日露戦争
『吾輩は猫である』(二)「趣味の遺伝」と日露戦争
漱石と日露戦後
漱石と第一次世界大戦
結びに代えて-漱石の戦争言説の特徴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
12
もし漱石が現代にタイムスリップしてきたら、どんなことを思うだろう? 一応平和だけれど牙を抜かれてしまい、足元に点いた火が燃え上がっていくのをただ眺めている日本をどう論じるのだろう? 本当に訊いてみたくなった。2011/07/10
猫丸
11
再読精読。日清戦争あたりから閔妃暗殺、半島侵略、さらに日露戦、第一次大戦。漱石の短い創作期間は戦争と並行していた。微妙に揺れながらも国家による民衆生活への介入には一貫して抵抗する漱石の足跡を文献から読み取る。国民国家普請中の明治期は、うっかりすると大国に蹂躙される危機にあった。生き延びるために国家体力を伸長する必要は認めるが、商業資本の醜悪な欲望が他国を侵害することは許さない。世界市民として生きるに足る精神の涵養こそが自らの天命と心得た文学生活であった。2019/10/29
きつね
6
209「〔新潟県立高田中学校での講演の趣旨は〕郷土的段階の人格は愛郷心が強く、日本的段階の人格になると愛郷心が薄くなって愛国心が形成され、世界的段階になると愛国心が薄くなるというのが思想の枠組でした。『三四郎』(1908)において、広田先生が三四郎に言った、「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。(…)日本より頭の中の方が広いでせう」という思想の延長線上にあり、のちの「世界主義」(「私の個人主義」)につながるものでした」 243「〔孤蝶の〕選挙戦にあたって、堺利彦が経営する売文社(1910設立)の社員で2015/04/23
ぶらり
5
漱石の作品から戦争に関する表現を抜き出して紹介する本。漱石と戦争という観点では「趣味の遺伝」を抜きには語れない。漱石がテーマとした意識と無意識、意図と不図、偶然と運命、善と悪、これらの対比エレメントが散りばめられた短編。主人公が探偵的な意図者でエゴイスティックな行動をして、ともすれば何か悪い結果を招きかねない安直な他人への関わり方をしても、偶然にも運命的とも思えるような善い結果をもたらし得ることを、創作的筋書きで表したもので、如何なる意図によるあるいは運命による戦争も肯定できないことを逆説的に示している。2010/09/17
スプリント
4
夏目漱石の生きた時代は大きな戦争が立て続けに発生したのだと再認識しました。作品にその時代の世情や漱石の心情が反映されており、その時々で戦争に対して肯定・否定・厭戦と揺れ動いているという考察が印象的でした。2014/08/31
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