内容説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
いじめやひきこもりと闘い、音楽に才能を発揮し始めていた最愛の弟の自死。きみのメッセージを追って、ぼくは旅に出るしかなかった、いくたびも……。生の意味を問いかける魂の物語。
目次
メコン
拾った乳母車
Crrrraaaa!!
(おつむてんてんの歌)
メコンの続き
シントック
あれれ?
視察
タッピ屋さん
ぼくも!〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
34
これは小説なのかエッセイなのか、つぶやきのような、詩のような。 慣れるまでに時間がかかりました。 あまりに繊細すぎる兄弟と、鈍感すぎる両親。 子供だからすぐ慣れると、言葉の通じない異国の公立の学校に子供を入れるのが恐ろしくなるでしょう。 パリでも、帰国後の日本でも虐められてきた兄弟。 読んでて辛くなり、飛ばし読みもしました。 最後まで理解は出来ませんでしたが、読後感はシ〜ンとした気分。2015/03/23
けんちゃん
23
読友さんのご紹介本。絵本「あの路」とリンクしているということで、手に取りましたが、前半はなかなか流れに乗れませんでした。これは何?小説?、ポエム?と何とか型にはめることで自分のものにしたいと思ったのですが、苦戦しているうちに、兄弟の孤独に少し歩み寄れた気がします。彼の追ったメコンのイルカ、弟への思い…タイトルのとおり、金色の雨粒のようにキラキラと輝きながら、す~っと心にしみ込んできました。苦労しましたが、読了してよかった。「あの路」をもう一度読み返したいです。 2013/05/09
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
14
僕達兄弟はいつも一緒だった。酷いイジメに耐えた時も、君がピアノを弾いて周囲を魅了した時も、二人だけの国を作った時もずっと・・。でも鏡のように映りあった僕達にいつしか憎しみが生まれ・・。この本いいです!言葉の選び方がとても綺麗です。後半になるにつれて一つ一つの言葉が沁み込んできて、読了後はシンとした気持ちになりました。「あの路」の絵本の原点はここにあるのかもしれません。絵本をもう一度読み返してみたいと思いました。★★★★2010/11/28
アキ
11
兄は魂を売ってしまった。腐りかけている、だから救うために来た—そう言う弟は1年ほどいたパリの兄の部屋で、命を絶った。『自分の半分だった』弟。残された半分である兄の手による散文は、誰かにやさしく語りかけるようでいて、風も光も、その粒子で感じるほどに読む者の心を繊細にし、危うくもさせる。弟という実体を喪ってから、弟の魂のもっともっと近くで語りかけているように思えるこの作品。その分、弟に対する罪の意識までが鮮やかに記されている気がします。2013/05/16
ちより
6
弟に向けた長い独白。小説というよりほとんどエッセイのよう。きみのいなくなった世界できみを探す。ぼくたちはいつも共にある。2010/05/08