内容説明
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シャハラザードが夜ごと命がけで語る奇想天外な話の数々を読み解き、『オデュッセイア』から『大蔵経』まで各地の物語、説話をたずねながら「幽遠の秘境」へ読者を誘なう、楽しくスリリングな案内書。
目次
1 生命がけの寝物語
2 幻のアラビアン・ナイト
3 枠物語の三つの由来
4 二人の海の男-シンドバードとオデュッセウス
5 若い男を動物に変える女-ラーブとキルケー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
10
『アラビアン・ナイト』研究で唱えられた様々な学説を紹介することでその世界に誘う卓抜なガイドになっている。オリエントの説話をイスラムの名の下に集大成した性格上、起源も発展の過程もさだかではなく諸説紛々ではあるが、この掴みどころのなさが魅力でもあるのだろう。個人的にはギリシアの話が取り入れられている点などに目を引かれたが解説ではやや疑問視されている。また、一番の特徴である枠物語のバリエーションと、それが恋愛問答(歌垣のような)の中から発生したのではないかとする学説には膝を打った。頭の片隅に留めておきたい。2016/05/17
ぽんすけ
7
アラビア語原典からの翻訳「アラビアン・ナイト」で著名な故前嶋先生の作。史学関係を勉強した人なら名前だけは知ってるという人も多いはず。この方の著作を読んですごいなといつも思うのは、古いはずなのに滅茶苦茶面白い。これに尽きる。この本は出典が一般向けではあるが、アラビアンナイトという作品がアラビアに限定するのではなくインド・ペルシア・ギリシア・ユダヤ・バビロニアの複数の名匠の手によりなるもので、そのような異質のものをアラビア語により渾然と一つに溶け合わせてまとめ上げたイスラム文明そのものであることを示している。2021/04/17
の
5
「千夜一夜物語」の起源を比較文学の面から解明し、付随する学説も加えて中東の歴史認識を明らかにしていくといったもの。源流はインド説話に影響を受けて9世紀に完成された「アラビアン・ナイト」あのだが、翻訳され多文化圏でのコンテクストに合わせた諸変更等々の紆余屈折の末、18世紀のヨーロッパに翻訳されていたものが今一般的に一番知られているであろう「千夜一夜物語」となっている。イスラーム圏外の文化を幅広く取り入れる姿勢が、当時の一般層でも「参加」可能な文学を生みだしたことは大きい。2011/04/24
M K
2
千一夜物語を読み終えて、より深く理解したいと思って購入。ここにもオデュッセイアとの類似があるのかーと感動。2021/01/04
あきら
2
まずこの本、すごい。既に何十年も前に書かれたものなのに、非常に読みやすい。それでいて話題が古臭くない。素晴らしい。 アラビアンナイトを深く楽しみたい人にオススメの本。2014/07/03