内容説明
「なぜ?」から始まる読書の楽しさ
誰もが知っている物語の裏側には、誰も知らない豊かな世界が広がっている!継母が意地悪なのはなぜ?魔女の正体は?ガラスの靴はどうして小さい?「怖い絵」シリーズで人気を博す作家・中野京子がナビゲートする、童話『シンデレラ』のもうひとつの味わい方。
はじめに── 『シンデレラ』は幼い少女の夢か
第1講 誰もが知っている物語 ── ペロー&ディズニー版「シンデレラ」
第2講 誰も知らない物語 ── グリム版「シンデレラ」
第3講 昔話とファンタジー
第4講 物語は終わらない
シンデレラ関連作品/主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bibi
36
表紙に「誰もが知っているつもりの物語は、誰も知らない豊かな世界で満ちている」とあるように、『シンデレラの』の奥深いところまで導いてくれる。ペロー版シンデレラ、ディズニーがかけた魔法、グリム童話集の功績など、なるほどと思うことがたくさんあった。「歴史に残る君主で、かつ花嫁選びの舞踏会を開催して妃を選んだとされるのは、16世紀ロシアのイワン雷帝」なんてコラムを入れるところは、まさに中野京子先生!2019/05/17
井月 奎(いづき けい)
36
モネはリンゴを多面的に切り、時間を平面に置き換えた作業で絵画に革命を起こしました。多面的視点、異時間の流れを一枚のキャンパスに描いたのです。中野京子の作業はその逆をおこなっています。解体の後の再構築への誘いです。物語論、批評論はともすると物語を硬直させるのですが、本来はそうではなく、古い物語にも熱い息吹が息づいていることを見つけるための方法なのです。この本を読めばディズニーの、グリムの、ペローの「シンデレラ」がそれぞれ現れてきます。汲めども尽きぬ物語の深淵を見せてくれて、思考のもともいただけます。すげえ。2017/12/09
レモン
28
ペロー版、グリム版、ディズニー版を比較し、それぞれの国の当時の文化などが色濃く反映されているという解説に納得。何もせずただ幸運を待ち続けるシンデレラが広く浸透したのは、夢を見ていたいからとのこと。私も幼少期に、ディズニー映画をよく観ていた。フェアリー・ゴッドマザーが魔法で変身させるシーンがとても魅力的だった。「カボチャの馬車」や「ガラスの靴」、「12時までのタイムリミット」という幻想的なアレンジを生み出したペローの功績は計り知れない。ずっと夢見がちなのは困るが、現実を忘れて夢を見る時間も時には必要と思う。2021/12/12
ごへいもち
26
グリム兄弟の功績、ディズニーの功罪はわかったけど他に新奇な事はなく読まなくてもよかったかな2018/08/18
A.T
24
世界に500とも700ともいわれる「シンデレラ」ストーリーのバリエーションの中から、特に有名な3つを比較。お姫様といえば、日本人のわたしでもシンデレラか白雪姫かという位、ポピュラーなディズニー版。そのディズニーが直接参照したであろう フランス 17世紀のルイ14世の世界観が盛りこまれたペロー版。その後、ドイツの民話を取りまとめた庶民風味グリム版。比較すると一つ一つが別の物語に見えてくる。そもそもタイトルの「シンデレラ」もディズニー版だけだしね。結局、右往左往したものの、わたしはディズニー版がいいね2018/03/20