内容説明
間口二間の小さな店を開いたお瑛は今年十六。両親をなくし、兄の長太郎と立ち上げた「みとや」は三十八(みとや)文均一の雑貨店だ。ところが能天気な兄が仕入れてくるのは、いわくつきの品物ばかりで……。不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿、なぜか手に入った亡き父の煙草入れ。山ほどの算盤が意外な結末に結びつく表題作をはじめ、色とりどりの人間模様が心に沁みる情味豊かな六編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
74
軽い内容ながら、江戸の市井の人たちを描いて、活気のある面白い連作短編だった。永代橋の崩落で両親を亡くしたお瑛は兄と二人で、三八文均一のよろず屋を営んでいる。今でいう百均ショップ。そこに出入りする人とお瑛らとのやり取りが綴られる。各短編50ページ程度の中にそれぞれのテーマが込められていて、楽しく読み進むことができるこの本の魅力はお瑛の元気の良さと、何でも仕入れてくる兄との掛合いの面白さ。シリーズになっているようなので、他の作品も読んでみたい。2017/10/16
kagetrasama-aoi(葵・橘)
38
「みとや・お瑛仕入帖」第一巻。「御薬園同心」があまりに好みだったので、同作者さまのこのシリーズを。こちらは、江戸時代の “百均” と言うべき 三十八文屋の “みとや” を舞台にしたお話。 “みとや” を営む兄妹、妹がお瑛、兄が長太郎です。しっかり者のお瑛と若旦那気質が抜けない兄、永代橋の崩落に両親が巻き込まれ、両親と店を失い…。涙腺が思わず緩む人情話満載です。謎のご隠居も登場するし、時代小説の楽しさを十分堪能しました。お瑛のキャラクターが素敵です。特技が舟を漕ぐこと、猪牙舟の櫓を操るお瑛が格好良いんです!2023/10/13
タツ フカガワ
27
お瑛と兄の長太郎は永代橋の崩落事故で両親を亡くし、以来お瑛は橋を渡れなくなってしまった。しかも両親が営んでいた小間物屋は意外な借金があり、兄妹は裸同然で世間に放り出される。やがて若い兄妹は小さな店を開店。この店を舞台に冒頭からほっこりする人情話だが、最後の思わぬ展開には涙、涙でした。2018/05/29
のんちゃん
27
永代橋の崩落で両親を亡くしたお瑛は兄と二人で、柳橋近くで三十八文均一の雑貨屋を営んでいる。現代の百均だ。兄が仕入れてくる品物を通して、事件が始まり、お瑛は活躍せざるをえなくなる、というお話。かつては大店の息子、娘だった二人だが、親が残したとされる借金で店や屋敷は取られてしまい、今の境遇になっている。ここにもいわくがあり、短編だが長編としても楽しめる様になっている。江戸の百均、ちょっと覗いてみたくなる。2017/07/25
to boy
27
初めての梶さん。江戸の百均を営む兄妹ですが、何やら訳ありな感じ。最後に過去の出来事がすべて明らかになります。兄の長太郎が能天気な性格かと思いきや意外な一面があったりしてそこそこ面白かった。お瑛さんが棹を握ると性格が変わるって、現代でいえばハンドルを握ると性格が変わるのと同じようですね。各章でそれぞれの事件を解決しながら両親の死、店の乗っ取りの真相が明らかになっていく進め方はうまいなぁって思いました。2017/07/07
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