ハヤカワ・ミステリ文庫<br> ボックス21

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ハヤカワ・ミステリ文庫
ボックス21

  • ISBN:9784151821547

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内容説明

強制売春の被害者が起こした思いもよらぬ事件。グレーンス警部が直面する北欧の闇とは? スウェーデン警察小説シリーズ第二作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

125
作家は二人で執筆しているのだから、あのラストは読者に予想がつくものだし、警部達の心の動きの不可解さを読者が指摘すると予想はしていたと思う。しかし、不十分さを残してでも、彼らは告発したかったのだと思う。女性の社会進出が世界有数の国で、男性に屈辱的に扱われている女性達がいるということを。女性に乱暴したいという男達の欲望の処理のために、外国人を食いものにしているということを。北欧ミステリを読むたびに、女性が性的に乱暴される場合の過酷さが筆舌に尽くしがたいことに、いつも底に潜む闇を見せられる気がする。2018/02/23

のぶ

81
人質事件をテーマとしたサスペンスと、警察小説がうまく融合した作品だった。話の中心となるのは、リトアニアから人身売買でスウェーデンに来た娼婦、リディア。序盤リディアがポン引きの男に暴行を受け病院に搬送される。意識を取り戻した彼女は人質を取り、霊安室に立て籠もった。このあたりのサスペンスは読ませ処で、読む手を止めさせなかった。やがて物語は事件の真相の捜査に移るが、何だか迷宮に入り込んだような展開になって行く。やがて明かされる人質事件の真相。とても良く出来た面白い作品を堪能しました。2018/04/01

ナミのママ

55
シリーズ2作目。スウェーデンで2004年に書かれた警察小説。他国からの未成年人身売買、性奴、強制売春。17年後の現在にはなくなっていると思いたい。そんな女性の命をかけた反乱・病院立て籠り事件。麻薬依存者殺人事件捜査のため、たまたま同病院内にいたグレーンス警部は両事件の捜査指揮官となる。この主人公のグレーンス、外見も性格も魅力的ではない。さして優秀とも思えない、むしろイヤミな男だ。本作、社会的背景は重いし、事件解決にスッキリ感はない、登場人物にも惹かれない。なのに読んでしまった、不思議と次も読みたい。2021/06/05

ちえ

47
福祉国家として知られるスウェーデンの社会問題、闇の部分に焦点を当てているミステリーシリーズ。読んでいて辛く凄惨な場面が続くが読ませる力はやはり凄い。それでも少し前に読んだ次作の「地下道の少女」の方が私としては好み。とにかくこの本の読後感の悪さ。リディアが命を懸けて伝えようとした事実と〈私たちみたいな女性をこれ以上増やさない〉という願いが、男達の保身や的はずれの男尊女卑のために揉み消されてしまう事がやりきれない。マントの女は途中から想像出来たけれどやはりそうか…。2020/03/27

鷺@みんさー

45
許さない。決して。許さない。お前たちを。…こんなに。こんなに、読みごたえがあって、なのに登場人物たちに吐き気がして、結末が深く深く重くて、怒りに震えた小説はない。きっと私が知っているからだろう。恥を。屈辱を。彼女たちを。その痛みを。ラスト3行、きっとそうだろうとは思っていたけど、やはり戦慄と共に、ひたすら、ひたすら、怒りが湧いた。お前たちは。揃いも揃って。…みな、みな、同じ目に遭ってみればいい。それでも同じ行動を選べるのかどうか。先ずは自分の体で受けてみろ。話はそれからだ。2022/04/27

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