内容説明
吉本隆明はいかにして「自立の思想」に辿りついたか。その根底にある倫理観とはいかなるものだったか。「永遠の吉本主義者」がその思想的核心を捉えた渾身の書。解説=内田樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
16
吉本隆明については「昭和の思想家でばななの父親」というイメージしかなかった。吉本の思想を、大衆と知識人というところを軸にして、ですます調の平易な文章で解説している。スターリン主義への批判とナショナリズムの分析、そしてなによりも高村光太郎(=吉本隆明本人)論に多くの紙幅を割いている。著者は吉本主義者を自認しているので、とにかく褒めそやすが、それを前提として読んでいるので嫌な感じでもなかった。むしろ全共闘世代としてリアルタイムで吉本に触れた著者の視点を通しているため、半世紀以上前の思想も瑞々しく伝わってくる。2019/01/19
sashi_mono
11
フランス文学者であり、熱烈な吉本主義者でもある鹿島茂さんが、吉本の初期作品の思想的勘所を分かり易く解説してくれる。本書でピックアップされた評論をすでにいくつか読んでいたが、鹿島さんのナビゲートを通してふれると、その問題意識がより明確に伝わり、一貫した流れのもとに把握できる。吉本の、階級出自を軸にした芥川についての考察は、すこぶる冴えわたっており、あらためて素晴らしいと感じ入った。鹿島さんが述べるとおり、芥川の評論はこれで決まり!と思えるほどだ。2018/04/02
hiroizm
2
この本は、吉本隆明が支持された著者の個人的体験も含む当時の社会背景の説明と、吉本の「高村光太郎論」を中心に引用しつつ、戦争時の知識人の思考を分析批判した吉本の思想を解説する、という内容。この数年、なぜ日本はアメリカと戦ったのか?をテーマに読書し、西欧と日本の文化的ギャップに苦悩する当時の日本人の姿を感じていた僕にとって、この本にある吉本隆明の高村光太郎批評はホント衝撃的。引用されていた吉本隆明の夏目漱石の分析もなかなか唸るものでした。2017/12/14
tabine_sora
0
1960年代に青春を送ったものでないとわからない、という初期吉本の鮮烈さを学ぶ。党派性に覆い尽くされた天皇制や戦争責任をめぐる議論に、きわめて「まっとう」で「単純な」発想をもとにして風穴を開けたということがまず言える。その後を承ける批評家が吉本を経由していることもまた、得心がいった。 論旨から外れるが印象深い箇所;「「芸術」や「知識」への上昇というものは一つの必然的な「過程」であって、そこに疚しさや自己嫌悪を感じる筋合いのものではない。最後まで行き着くほかないのだ」。それから『話』1937.9の投書の引用2025/01/31
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