集英社文庫<br> 短篇セレクション 幻想篇 命日

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集英社文庫
短篇セレクション 幻想篇 命日

  • 著者名:小池真理子【著】
  • 価格 ¥495(本体¥450)
  • 集英社(2017/12発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087474565

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内容説明

仙台の家に引っ越してから、姉の繊細な神経はますますその度合いを増していくようだった。見えないものを見、聞こえない音を聞く。それは死者の気配。(表題作「命日」より)生きているものたちの後ろにひっそりとある異界のものたちの存在。かれらは何を伝えようとしているのか。恐怖より哀しみ、不思議より美、幻想に満ちたあやしの交流を、流麗な筆致で描く恐怖短篇集。

目次

命日
家鳴り
流山寺
水無月の墓
ミミ
巻末エッセイ 現世と異界――その往復

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

352
5つの短篇を収録。都会的な恋愛小説を得意とする小池真理子だが、こうした幻想小説も見事なもの。現代にあって幻想小説のこれほどの書き手もそうはいないだろう。5篇はいずれも「生者と死者との切ない交流の物語」である。表題作の「命日」ー怖さではこれが一番かと思う。続く「家鳴り」は、これまた別の意味での怖さを持つ。「流山寺」の持つリアリティも捨てがたい魅力を持っている。「水無月の墓」もまた予想通りとはいえ、展開はいたってスリリングである。そして、掉尾を飾る「ミミ」ー切なさではあるいはこれが筆頭か。2022/07/09

pino

119
雨の表情が美しい5編。ガツンと震え上がる怖さというより、じわじわ肌が粟立つ感覚を味わう。「命日」は家族内の物憂げな空気がミステリアスに描かれ、ラストの迫りくる現象に居すくまる。「家鳴り」は、夫とのわだかまりを抱える主婦と慇懃無礼な男の駆け引きがスリリング。破綻していく人間の心境が家になぞらえられて生々しい。「流山寺」「水無月の墓」「ミミ」は霊魂が愛おしくなる話だ。そぼ降る雨にうたれ、立ちすくみ、恍惚としている心持ちに似ている。幼い頃、熱を出したにもかかわらず、幸福感に包まれたあの感情。切なく哀しい怪異譚。2023/06/25

キムチ

41
小池さんに嵌った始まりは圧倒感すら覚える短編作品の味わい。ホラーでもなく、サスペンスでもなく、イヤミスでもない・・でも読後はぞわりと来る 形容しがたい嫌な味。幻想がかっているところもいいし(蒼い空気を感じさせられる)5編の短編が入っており、うら寂しく、湿った空気。「流山寺」「水無月の墓」の展開が最も面白かった。小池さん、水無月って案外好きなんじゃないかしら・・他でも読んだ記憶がある。2018/04/02

けいこ

33
久しぶりの小池真理子さん。 死者と生きている者との時間が交差する5編の短編集。死者が手招きしている様な恐怖を感じる表題作の『命日』をはじめ、何かを伝えたい死者と生きている者との想いが、時には薄ら寒く、時にはせつなく、雨の情景と共に迫りくる。小池真理子さんだからこそ描ける、不思議で美しい短編集。2025/04/16

Yu。

31
引っ越した一軒家に住み始めてから起こる家族の不幸とその背後にいる不気味な松葉杖の少女(ヨイショ、ヨイショ‥)の存在が描かれる「死神」‥いえ「命日」。死にかけた家に住む主人公の変わりゆく心情はもう極上心理ホラー「家鳴り」。哀しき過去を持つ主人公の隙間に入り込む異世界に読み手も思わず呑み込まれてしまう「流山寺」 「水無月の墓」 「ミミ」‥ と魅せる読ませる真綿で締める恐怖こそ小池節という怪談系をメインに描かれた5つの怪奇幻想短編集。‥ちなみにお気に入りはイヤミスホラーな「家鳴り」。2017/02/26

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