内容説明
同郷で同世代で名前も同じ。小説家・小川洋子とエッセイスト・平松洋子。踏みしめてきた数々の「踊り場」を振り返れば、そこにはいつも本があった――。ふたりはこんな本でできている。アンネ、ドイル、ケストナー、増井和子、タブッキ、白洲正子、倉橋由美子、深沢七郎、藤沢周平……。お二人が古今東西の名作を入り口に、本と人生を読みほどき、楽しく語り尽くした、滋味あふれる対話集。
目次
第一章 少女時代の本棚
&〈私たちをつくっている、ささやかな記憶の欠片〉
第二章 少女から大人になる
&〈忘れられないあの味、この味〉
第三章 家を出る
&〈私の中の海。産むこと、母になること〉
第四章 人生のあめ玉
&〈日々の習慣がくれる偉大な力〉
第五章 旅立ち、そして祝福
&〈女友達、男友達の条件〉
〈巻末附録〉人生問答
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
120
二人の洋子さんによる対談集。テーマは自分の背中を押してくれた本。子供時代、思春期、自立期などの頃に読んだ本で印象に残ったものを取り上げて歓談している。二人は互いが同年代、同郷で読書好きということからか垣根を取っ払ったかのように自分達の人生に深く踏み込んだ対談になっていたと思う。それだけリアルな言葉を感じた。女性としての視点、母娘関係や母親としての思いはそうなんだと。息子さんのあめ玉話は多分本人はそれを読んで悶絶してるだろうなとか。本作では誰にとっても物語は必要と何度も語られるが確かになるほどと合点した。2021/01/04
はたっぴ
85
出身地が同じで年齢も近いお二人の感性が響き合い、とても濃密なお話を聞くことができた。案の定、読みたい作品が増えてしまい、積読の棚から引っ張り出したり取り寄せたりと慌ただしい。言葉と向き合う仕事をしている人らしく、それぞれの作品に対する真摯な姿勢が好ましく、これまでの数々の読書体験についての赤裸々な告白に釘付けだった。帯に『人生の荒波を読みほどく』とある通り、柔らかい語りの中にもお二人のキリッとした言葉が光る素晴らしい対談本である。とりあえず手元にある『インド夜想曲』から読んでみよう。2017/12/04
ユメ
45
二人の「洋子さん」が人生の曲がり角で心の支えにしてきた本を語る。多感な頃に同じ本を拠り所にしていたということが、二人のあいだに「理解」というより「許し」に近いものをもたらしているように感じた。本が、互いのより内面的なところへ踏み入るための切符になっている。対談を読んで、改めて自分が女として生きてきた上で本が果たしてくれた役割の大きさを思った。本との出会いがもたらしてくれたものは、自分の精神形成において、実体験に匹敵している。これから先も、本と出会うことで、人生を肯定するエネルギーを養っていきたい。2017/11/18
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43
『生きる力って、出会う力でもありますね。』病や心の苦しみを抱えてる人。後悔を昇華できない人。あれは必然で必要なことだったと自分の中に納めていくにもエネルギーが必要。人でも仕事でも芸術でもいいのですが、出会うことでそれまでの自分の人生を肯定するエネルギーを養うんです。同郷同世代の『洋子さんたち♪』による地味ある対話集。後半になるとふたりの私生活を垣間見るような雑多な話も!クスクスと笑って読了。2023/02/19
kyokyokyo3201
38
紹介する本を通じてお二人の人となりや生き様ご浮かび上がってくる一冊だった。好きだったのは『人生あめ玉』。子供の思い出を記憶のあめ玉にして何度も剥いて口にする。深く共感した。 読んでみたい本は『みちのくの人形たち』。きっとものすごく怖い思いをするだろうけれど。2021/07/30
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