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内容説明
「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」。強烈なパラドックスを含むこの成句で有名な『歎異抄』。その一言一句から発せられる「毒」と「薬」は、時代や階層を超え、人々の魂を揺り動かしてきた。親鸞の純粋なる信仰を、直弟子唯円が大胆率直に記述した『歎異抄』の魅力とは何か。わが国でもっとも優れた宗教書であると絶賛する著者が、その真髄をあまさず語る。法然と親鸞、親鸞と唯円という師弟関係を通して浮かび上がる独自の世界。道徳の延長ではない宗教の本質をえぐり出す。また、『歎異抄』の聞書作者である唯円その人の出自をめぐり、梅原流の歴史観を披瀝する。これまで唯円は東国の出身であるとされていたが、数々の資料を通して、西国の出身ではないかと。そして親鸞と唯円の深い関係も、親鸞の晩年に京都で築かれたのではないかと、独自の推論を展開する。『歎異抄』成立の秘密に迫った興味深い洞察である。現代語訳と詳しい年表付きの決定版である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
46
2013.03.02(つづき)梅原猛著。 2013.03.02 そして善導大師の注釈書が正しかったならば、その善導大師の注釈によって正しい念仏の教えを説かれた法然聖人の言葉が偽りであるということがありましょうか。 もし、法然聖人の教えがただしかったならば、私があなたがたに申し上げました念仏往生の教えもどうして間違っていましょうか。 私の信心は、ただそれだけ、その他には何もないのであります。 2013/03/02
i-miya
42
2013.02.20(初読)梅原猛著。 2013.02.19 (梅原猛) 1925生まれ、京都大学文学部哲学科卒。 立命館大学教授。 京都市立芸術大学学長。 「梅原古代学」。 1999、文化勲章。 (カバー) 善人なおもて往生をつぐ、いわんや、悪人をや。 強烈なパラドックス。 「毒」と「くすり」の『歎異抄』。 法然と親鸞、親鸞と唯円、この2つの師弟関係。 道徳の延長ではない宗教の本質を抉る。 2013/02/20
i-miya
36
2013.02.23(つづき)梅原猛著。 2013.02.20 (山折哲雄解説、つづき) 本書の流れ、(1)日本の仏教の流れを大きく俯瞰。 第6章、現代語訳(『歎異抄』)。 六字名号。 中央の「南無阿弥陀仏」の六字名号。 上下に、『無量寿経』の抜粋が書かれている。 (現代語訳) 親鸞の生きた時代と、今の時代を比較してみて、親鸞が、自分の口で語った教えと、異なる教えがはびこっている。 それでは差しさわりがある。 わが宗門は念仏易行の一門である。 2013/02/23
i-miya
33
2013.02.21(つづき)梅原猛著。 2013.02.19-2 (年表、つづき) 1207(承元元)、専修念仏停止の院宣、下る、源空、処罰。 1207(承元元)、親鸞、越後へ遠流(おんる)、源空、土佐へ流罪。 1211(建暦元)、39歳、親鸞、流罪を許され、源空も許され、入京、東山大谷に住す。 1212(建暦二)、40歳、源空(80)、没。高弁、『選択本願念仏』を批判。 1221(承久三)、49歳、承久の乱、幕府、後鳥羽上皇を配流、隠岐へ。 1227(嘉禄三)、55歳、道元、『普勧坐禅儀』を著す。2013/02/21
i-miya
31
2013.02.26(つづき)梅原猛著。 2013.02.26 (現代語訳、つづき) 皆さんは、はるばる関東の地からこの京都へこられた。 十余国の国境を越えてこられた。 生命の危険を顧みず、この京都の、私のわび住まいに訪ねてこられた。 あなた方の志は、どこにあるのか。 私から極楽で往生する方法を聞き出そうとしてのことでしょうか。 残念ながら私は、念仏以外に知らない。 2013/02/26