内容説明
開国から明治維新の近代国家創設、日清・日露戦争を経て植民地帝国への拡大、満州事変から日中戦争、第二次世界大戦敗北による帝国崩壊まで……。日本は、アメリカ・フランスのような理念型ではなく、民族型の国民国家を形成し、天皇中心の国体に収斂してしまった。国民による戦争への積極的な関わりにも注目。「国民」をキーワードに、日本近代史を解明し、単純な支配・被支配関係ではない国民国家・日本の実像に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
18
近代日本国家の成り立ちがよくわかる。22頁。日本の国民国家を考える上で「天皇」の存在は無視することはできない。国民国家はそもそも人工的に創られたものであるため、構成員である国民に一体感をもたらす接着剤のようなものが必要である。国王という具体的な存在を排除して国民国家を創り上げたフランスやそもそも統合の象徴が存在しないアメリカの場合、「自由・平等・友愛」といった抽象的な建国理念を共有することで「国民」という自覚を生み出し、これが国民国家を支える基盤となる。2020/12/22
skunk_c
17
明治維新~アジア・太平洋戦争の敗戦という日本近代史を、「国民」の創成と、国家の国民を統制しようとする意思と、国民が国家を制御しようとする意思の緊張関係を主軸にして論じる。著者自身が「高校教科書程度の内容」と認め、また実証研究ではなく、前述のような視点から歴史を語り直したもののため、実証的な内容を期待すると外れ。しかし一部記述の粗さは見られるが、身分の解消、軍隊と国民意識、天皇のあり方、植民地と他民族化の進展などを「国民」という視角から整理し直す意図は成功している。簡明な記述で日本近代史入門に良い1冊。2018/04/20
在日宇宙人
1
本編はおもしろかったのに、どこか大衆蔑視の雰囲気漂う「むすびにかえて」。2019/04/09
onepei
1
「国民」とはなんとも得体のしれないもの。2017/12/20