内容説明
2016年6月、英国のEU離脱の是非を問う国民投票では、キャメロン首相率いる残留派を抑え、離脱派が勝利を収めた。首相付き広報官として残留キャンペーンに奔走した著者が、膨大な手記を元に、国民投票までの六カ月間の真実を明かす。なぜ国民投票を行うに至ったのか? 次期首相を狙うオズボーン、ジョンソン、ゴーヴ、メイらはいかに立ち回ったか? 英国史に残る大事件の舞台裏で繰り広げられた人間ドラマを再現した話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
31
2016年6月23日。英国がEU離脱を決めたニュースは世界を驚かせた。本著はキャメロン首相の政務広報官が書いた内幕本。あの結末に至るまでの半年間にわたるメディア戦略の顛末がリアルに展開される。離脱派による嘘も交えた強烈なキャンペーンへの対応が後手に回ったうえ、内閣内の裏切りなどが重なった。何よりも若者の投票率が低かったことが響いたのだという。理性よりも感情で判断する風潮が強まっています。日本でも憲法改正でメディアを使ったキャンペーン合戦が予想されています。この本のような醜い争いにだけはならない事を祈ります2018/02/03
funuu
18
「豚と格闘するな。豚は喜ぶが、こっちは糞にまみれる。」残留派と離脱派が泥試合。そして初の経験に乗り出す。大英帝国の誇り、移民による社会不安、EUから一番の利益を得ている層への反発等が離脱に賛成に繋がっていく。メイ首相の英帝国の将来は厳しそう。一般国民は影響ないと思っていたと思う。作者の意図と違ってキャメロン氏が全て悪いことになりそうだ。何ごとも初められた動機は正しことをしようとしたのだ。一方で日本の憲法改正の国民投票は改正でも改正なしでも自衛隊がなくなるわけでなく現状と同じ。まあ、祭り。2018/01/01
BLACK無糖好き
16
著者は2016年6月に行われた英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、EU残留キャンペーンの広報責任者として当時のキャメロン首相を支えた中心人物。保守党の内部分裂の内幕も曝け出しているが、本書の肝は"政治とメディアの関係"。著者がどのような戦略で残留キャンペーンを推し進め、そしてメディアはどのような役割を果たしてきたのか、著者は元ジャーナリストでもあるが故にこのテーマに関する論及は響くものがある。又一気に燃え上がり一気に鎮火するというニュースの燃焼率についても指摘している、この傾向は身近でも感じられる。2017/12/09
てれまこし
11
報道畑出身の首相広報責任者が語る国民投票の内幕。敗軍の参謀だからくやしさがにじむ。いわゆる「スピンドクター」と呼ばれる世論操作のプロだが、意外に真面目。残留キャンペーンに本腰を入れない労働党指導部や、事実ではなく見出しになるニュースばかり追うメディアが戦犯だが、主犯はゴーヴ、ジョンソン、メイといった首相の盟友であったはずの保守党内重鎮だ。権力欲のために嘘や偽善もためらわない「裏切り者」。だが、その三者の背後には複雑な事実を避けて単純な嘘ばかり求める一般有権者がいて、嘘はつかないまでも誘導しないとならない。2024/12/04
BATTARIA
6
イギリスのEU離脱国民投票に関する、キャメロン首相の広報官による敗戦の記録。離脱賛成で大臣は辞めないなんて、保守党の学級崩壊ぶりは失笑の一言で、日本の政治家と大差ないや。トルコのEU加盟でイギリスに移民が等、離脱派のウソ八百のオンパレードや、ちゃんと報じないBBCに怒りを爆発させているが、事がここまでこじれては、何が事実かを明らかにしたって何にもならないことに、著者は愚かにも最後まで気づかなかった。敵の主張は事実じゃないと証明されたところで、敵が過ちを認めて謝罪するわけがないし、大半の国民には無意味だ。2022/09/23
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