内容説明
ネアンデルタール人と人類が遭遇した遠き過去。何が起き、何が成されたのか? ノーベル賞受賞作家が強烈に描く人類の原罪の物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
143
「蝿の王」があまりに大作であったために...、ひどく心を揺さぶられ、内容よりも受けたショックの大きさの方がまず思い出されるほどであったから、この作品は期待薄く読んだ。あんなものは何冊も書けるものではないと高を括っていた。まさかだった。これを文学として仕上げただなんて。後半は彼らの挑みを見るのがつらく、まるでインディアンと白人の戦いを見守る気持ちに。ラストの視点の入れ替わりには息苦しくなった。後継者という考え方は、ダーウィンを肯定することになり、「蝿の王」の豚も含め、ゴールディングの宗教観を知りたく思う。2019/04/22
優希
48
ネアンデルタール人の視点でホモ・サピエンスを描いた寓話でした。奇想天外な展開で、人間の現在を描いた異色作だと思います。2022/06/16
みや
40
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの闘争から人類の原罪を描く寓話。独特な感情表現や行動、論理性に欠けた思考回路で生きるネアンデルタール人視点が大半を占めるため、非常に読みにくい。前提や説明が一切示されないままに現代の言葉で表現されるのは難解だが、味わったことのない感覚で大変面白かった。両者が互いの摩訶不思議な行動に困惑しながら相容れない様子は、異文化コミュニケーションの難しさを知らしめる。このような闘争が数限りなく繰り返され、今日へと辿り着いたのだろう。滅亡と転変の後は見える世界が一変し、鳥肌が立った。2020/05/18
ヘラジカ
37
ウィリアム・ゴールディング長編2作目。人類の台頭とネアンデルタール人の死、そして罪の誕生を描いた神話的(聖書的?)物語。『蠅の王』は中学生時代でも熱中して読めたが今回は結構な難物。過去に刊行されたものをそのまんま文庫化していることもあって翻訳も少し読みにくい。元から生易しい小説ではないのだろうけれど、単純な筋書きなのについていくのがかなり大変だった。しかし一読の価値あり。これを皮切りにゴールディングの未訳作品がどんどん邦訳されたりしないかなあと期待してしまう。(2017・75)2017/11/15
りー
23
今の時代に読んでも極めて挑戦的な発想で書かれた小説。物語が旧人類、ネアンデルタール人の視点と思考で描写され、進行して行くという、正直読み始めた時には何が書いてあるのかイマイチわからなくて難儀した。しかし読み進めるうちに彼らのどの言葉が現代の言葉で言う何を指しているのかを類推する楽しみを感じられるようになる。ただいかんせん翻訳の難しさなのか、読みにくさは最後まで付きまとった。2018/05/06
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