内容説明
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。誰もが初めは不幸に追い立てられ、行き場を失ってここにたどり着く。だが、霧笛荘での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気付き始める――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
98
訳ありの老婆が管理する霧笛荘に住む人々の悲哀に満ちた人生模様を描いた作品。自殺願望のホステスの千秋、彼女を優しく見守る眉子、オナベのカオル、ヤクザのカンカン虫の鉄夫、バントボーイの四郎、元軍人のキャプテンの園部、それぞれの個性が際だって面白い。特に、四郎と姉とのエピソードは泣けるし、園部の元恋人との逸話は戦争絡みで心が痛む。霧笛荘に住む人々は、それぞれの関わりから、人生の真を知ることになる。人間にとってはの本当の幸せとは何かを問いなおすことになる。優しさに溢れた切ない感動が残る。 2022/08/04
shizuka
68
町外れのボロアパートからこんこんと湧き出るロマン。大家の老婆、そして過去の住人たち、不幸のどん詰まりで行き着く最後の場所だというけれど、選ばれし者しか扉を開けることは叶わない。いくら私が霧笛荘に住みたいと思ったって絶対にたどり着けない。私はまだまだ自分へのご褒美を狙っている。そういう邪な気持ちがあったら絶対に霧笛荘で暮らすことはできない。老婆太太が来訪者に言う「ここの住人は決して不幸ではなかった」の言葉が響く。末期はそれぞれでも彼らは精一杯生き抜いた。霧と温もりが全てを赦し貴方を優しく包む、そんな霧笛荘。2018/04/16
Yuma Usui
37
哀しみとともに爽やかさを感じる七つの物語。運河のほとりの古アパートに住む6人のエピソードが主に語られる。短編集に近いけど各話の登場人物が互いに関わり合う点で膨らみを感じられ話に引き込まれた。個人的に、カオルがいろんな意味でその変わりっぷりに驚いたり人情味に胸を打たれたりと1番印象に残る人だった。2020/05/21
ドナルド@灯れ松明の火
36
先日「わが心のジェニファー」でがっかりしたばかりだが、この本は浅田さんらしい、昭和の時代の匂いがプンプンする人情溢れる話だった。霧笛荘各室の住人の話がどれも切ない。 お薦め2018/11/01
ちょん
33
舞台がよい。見たことない場所、会ったことない登場人物たちに懐かしさを覚えさせてくれる浅田さん。神すぎる。霧笛荘、住むには人生の経験値、苦労が足りなさすぎるかもしれないけど行ってみたい。カオルさんが好きだ✨2020/04/22




