内容説明
品川、新橋、銀座、日本橋、上野、浅草……獅子文六が東京を路面電車でめぐりながら綴る、愛しの風景、子ども時代の記憶、美味案内。ゆったりと古きよき時代がよみがえる名エッセイ、新装版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
59
【7月生まれの作家】『私は、東京の乗物の中で、都電が一番好きである。』都電とはちんちん電車の事。都電が走り始めたのが明治36年。作者が都電に乗ってみようと思い立ったのが昭和41年、73歳になる年だという。幼少期は憧れの乗物で、若い頃は都電に乗り青春時代を過ごした。当時、よく立ち寄ったという牛鍋店や蕎麦屋、天ぷら屋、甘味処などの情報も満載でコロナが落ち着いたら是非にでも行ってみたい店だらけ。私の極秘ノート『作家に想いを馳せるグルメ旅』にはまたしても店情報が増えたのである。1692020/07/21
おいしゃん
32
都電全盛期に想いを馳せたエッセイ。そこまで期待せず手に取ったが、さすが獅子文六、面白い。時代が大きく変わろうと人々の感覚の変わらなさだったり、逆に地名駅名は同じでも大きく変貌を遂げた場所もあったり、いちいち比べながら読むと面白さも何倍に。著者と同じ学び舎のため、三田の地が頻出するのもまた嬉しい。 まもなく宇都宮では、数十年ぶりに路面電車の新規開業を控える。ゆっくり走るため、路面電車は道路上で一番乗り心地が良い、との著者の言葉はまさに言い得て妙であるが、今後少しでも復権していくことを願いたい。2023/08/02
いづむ
9
「ちんちん電車」こと路面電車がめぐる東京の街の風景を描くエッセイ。品川から銀座、日本橋を通って上野、浅草まで。昭和30年代頃から意外と変わっていないところもあり、特に美味しいものの店は「ああ!そこ私も好き!」なんて馴れ馴れしく大好きな獅子文六に心の中で話しかけながら読む。魚河岸が日本橋から築地に移転したときは、豊洲への移転ばりに騒がれたらしき話や、日本橋の上に通った首都高への憤慨がすぎてあの麒麟の青銅の装飾にまでケチをつけるのが面白い。でもやっと!首都高は地下化されるよ、と言ったら一緒に喜んでくれるかな。2022/09/29
barcarola
7
後半、食べ物(飲食店)についての話題が多くを占めるようになるのがやや不満。まぁ、路線がそういう地域に差し掛かっているわけでやむを得ないところか。電車唱歌は寡聞にして初耳。2021/08/08
栄吉
5
★★★☆☆ この時代だからこその風情を感じる。地方の自分にとっては、馴染みはないが面白くよめた。2019/09/04
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