内容説明
神功皇后、持統天皇、北条政子、淀殿……連綿 と続いた女性権力者の系譜を掘り起こす。女性天皇はいかなる状況で登場したか、天皇や将軍の「母」はいかに権力を掌握したのか、なぜ時代とともに女性は権力から遠ざかったのか。多様な史資料を駆使し、社会構造や女性観の変遷、東アジア諸国からの影響を検討して謎に迫るとともに、日本の特性をも明らかにする。天皇の退位を控え、転換点にある今こそ読みたい注目作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
22
よくある女帝=古代の女帝のみにとどまらず、中世、近世、近代、そして現代と、権力に関わる広義の意味での〈女帝〉についての入門書。縦糸としての日本史と、横糸としての東アジア史とを織りなしながら語られる視点は、新書としてはなかなかのボリューム。読み飛ばしたところもありますが、権力と女性、そしてこれからの女性天皇論などについて考える上では手に取るべき本かと思います。2020/02/03
ころこ
16
女性の社会進出は、その社会がジェンダーフリーかどうかのひとつの指標です。客観的で各国比較可能な指標に女性議員の割合があり、日本は世界の中でもかなり低い。他の儒教国家である中国、韓国と比べてもその差は明らかです。とすると、儒教がその原因とはいえず、日本固有の原因があるはずです。それを女性の政治参加の端的な例とする、女帝の系譜を追うことで考察してみるというのが本書の目的です。古くは神功皇后、そして北条政子、日野富子、北政所・淀殿の武家社会での権力掌握を概括します。続いて、江戸時代を女性の権力が封じられた時代と2018/01/14
Porco
14
へぇー、と思うことは多かったのですが、どうも散漫な感じがする本でした。2018/04/08
ぽっぽママ
14
日本だけではなく 中国、朝鮮などの歴史を比較しながらわかりやすく説明されている。日本では時代が近代に近づくにつれ女性が政治権力をもてないように導かれていったというのは興味深い説です。それが現代女性の社会進出を妨げているというのも納得できました。ある意味日本の男性は東アジアで一番賢かったのかも。2018/02/20
みなみ
12
「性差の日本史」では時代が進むにつれ女性の権力や権利が剥ぎ取られていった様が記述されていた。この本では奈良時代までの女帝、平安時代の摂関政治における天皇の母の権力、北条政子や日野富子といった女性が取り上げられている。ターニングポイントだと感じたのは、後家として豊臣家を守ってきた淀君が徳川に滅ぼされたところ。淀は馬鹿だからだめだったみたいなのはドラマでもあるあるだが、そうしないと実は後味が悪すぎる。中国や朝鮮半島という同じ文化圏で比較されており、たいへん勉強になる一冊だった。2024/09/30