- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
多くの日本人が、丁寧な暮らしや、家事をきちんとこなすこと、配慮の行き届いた子育てをすることを理想としている。しかし他方では、日本人の「完璧家事」の傾向や、昨今のシンプルな暮らし(「断捨離」「ミニマリズム」など)の流行は、母親への目に見えない圧力となると同時に、家族との分業を阻んだり、葛藤の原因ともなっている。多くの聞き取りや国際比較などを参照しながら、気楽で苦しくない家事とのつきあい方を提案する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里季
76
日本が滅びるかどうかはちと大げさに過ぎるかもしれないが、日本社会にはびこる家事は女がすべきという考えが少子化に結び付いているとしたら由々しき問題である。私個人としては家事はなるべく効率よく簡便に済ませるのがよしとする考えなので、モデルハウスや雑誌に出てくるようなきれいに片づげまくった無機質な家には全く魅力を感じないのだ。あれはなんだ、その家の主婦の趣味だね。それに関しては文句は言うまい。テニスや観劇をする代わりに家を片付けて気分を上げているのだから。でもそれを家族に強要するのはよくないなあ。2018/07/10
rico
73
タイトルの前に「女性の」とつけてもいいかも。国が言う「女性活躍」って、「家のこときちんとやって(早寝・早起き・朝ごはんとか)、子供育てて、介護もやって、バリバリ働いてね」としか聞こえなくて、「できるわけねーだろ!」と毒づいてた。多分、戦後の経済成長を支えた男女分業モデルが権力層の成功体験と結びついて、「岩盤」になってるんだろうな・・。大切なのは日々の暮らしを心地よく過ごすこと。そのために必要なことはみんなでシェアすればいい。うん、これですごく楽になれる。この本、職場の女性陣でただ今絶賛回覧中です。2018/01/11
ネギっ子gen
64
「完璧家事」や「手づくり」礼賛、さらにシンプルな暮らし(「断捨離」「ミニマリズム」など)の流行は、母親への目に見えない圧力となると同時に、家族での分業を阻み、葛藤の原因にも。翻訳家として他国の友人も多く、家事や掃除術の専門家でもある著者が、気楽で苦しくない家事との付き合い方を提案。<男女同権が憲法に明記されてからすでに70年。そろそろ、女は家事ができて当たり前という呪縛から、男も女も離れてもいいのではないだろうか/そんなに真剣に家事をしなくてもいいかと思う人が増えるといいなあと、密かに期待している>と。⇒2022/12/11
けぴ
61
専業主婦の世帯と共稼ぎの世帯は2000年以降は共稼ぎ世帯が多くなっている。しかし、家事についてはいまだに妻が果たす役割が多い。さらに家事をキチンとしなければいけないという圧力がある。著書は海外の事例など引きながら、そんなに完璧にせず手抜きで良いととく。例えば食事は東南アジアでは屋台などの外食も盛ん。健康に悪いかというとシンガポールの寿命は日本と変わらない。また、現在の日本での出産年齢は2/3が30歳以上。キャリアと育児の両立が難しいと考えることが一因。日本ではあまり多くないシッター利用も勧められる。良書。2021/10/03
naginoha
53
今ジェンダーとか男女共同参画をキーワードとする書籍を重点的に読もうとしています。これもそうなのですが、もう少し深く掘り下げて欲しかったなあ。話が東京の高所得層の話が多くて、地方の庶民にはあまり参考にならない。地方の庶民こそ家事しすぎだと思うんですけどね。 まあでも、作者の一番言いたいこと、まわりに縛られすぎずに、自分らしく楽しみながら、夫婦が協力して家事をこなしていけたらいい、という点は激しく首肯する。3.5/52021/01/16