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内容説明
ケルトの民ブリトン人の島だったブリテン島をローマ軍が征服し、属州として支配を開始したのは一世紀中頃。五世紀に入るとローマは撤退、アングロサクソン人が侵入を始める。以来ブリトン人は、のちにウェールズと呼ばれる島の西の隅に追いやられ蹂躙されながらも、外敵イングランドに抵抗を続けた。そして1485年、ついに「勝利」の日が訪れる。それはあまりにもドラマチックな大逆転劇だった――。本書は、救世主「アーサー王」の再来を信じ、1500年にわたり強大な敵に抗い続けた、ウェールズの誇りと栄光の物語である。 【目次】プロローグ 「よそ者」と呼ばれた人たち/第一章 ブリトン人から、ウェールズ人へ/第二章 ノルマン人西へ、ウェールズへ/第三章 独立を懸けた最後の戦い/第四章 赤竜の旗のもとに/エピローグ ウェールズよ、UKよ、何処へ/ブリテン島およびウェールズの年表/参考文献等
目次
プロローグ 「よそ者」と呼ばれた人たち
第一章 ブリトン人から、ウェールズ人へ
第二章 ノルマン人西へ、ウェールズへ
第三章 独立を懸けた最後の戦い
第四章 赤竜の旗のもとに
エピローグ ウェールズよ、UKよ、何処へ
ブリテン島およびウェールズの年表
参考文献等
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
108
アーサー王の繋がりでこちらを。英国を構成する国の一つ、ウェールズの人たちの先祖の多くはケルト系ブリトン人。そのブリトン人を率いて侵入者であるサクソン人を撃退したとされるのがアーサー王。現代では伝説上の人物と見なされているが、ウェールズ人にとってはイングランド等との長い戦いの歴史において希望の象徴だった。実際、アーサー王の原型だとされる人物もいたようだ。さらにテューダー朝の初代王ヘンリー7世はウェールズ君主の正統な血筋も継いでおり、彼が即位するまでの経緯はまるで伝説の物語の一篇のように感じられた。2021/04/26
鯖
19
女王ボウティッカの反乱から始まり、アーサー王の再来ことヘンリー七世を中心にウェールズがイングランドに食い込んでいく様を描く物語のような史書。語り口が優しく、ロマサガ2の吟遊詩人の歌声を聞いてるみたいだった。すき。「イギリスをヨーロッパのように色々な言語を持った多様な民族がいるミニ大陸と仮定すると見えてくることがある」というのはなるほどな~と。しかしヘンリー七世はこんな理想的なのに、息子がアレでいいのかアレで。リチャード三世とのボスワーズの戦いの布陣図も収められ、なんか関ケ原に似てるなあと思った。2023/12/13
武井 康則
13
イギリス、ウェールズの歴史なのだが、副題にあるケルトとか、アーサー王伝説につられてはいけない。ブリテン島にローマ人が渡り、その頃から支配者は変わり続け、原住民は常に虐げられ続けてきた。それがウェールズに住む民。イングランド,スコットランド、アイルランドはそれぞれ独立しているがウェールズのみイングランドの属国となっている。そんな中央視線でなく、脇から眺める英国史。一応、バラ戦争、ボズワースの戦いで幕が引かれる.勝者のヘンリー7世がウェールズの血を引いているから。2024/07/05
ジュンジュン
13
ブリテン島の隅っこに追いやられたケルトの国、ウェールズ。そもそも「ウェールズ」とは、侵略者アングロサクソン人がブリトン人(ケルト人)を「よそ者」と呼んだ事からきているそう。ひどっ!後から来たくせに。負けっぱなし、時たま勝利のウェールズから見たら、ばら戦争終結・ヘンリーテューダー即位は”大逆転勝利”だった。今も受け継がれているプリンスオブウェールズの本来の意味は、王子ではなく大公だった。等々、知らないことがわんさか出てくるウェールズ史、面白かった。2022/07/15
のれん
12
イギリス内部で争う国たちで唯一影が薄いというか、国旗から肩身の狭さが分かるウェールズ。しかしそのイギリス王家までがウェールズ出身のアーサー王を始祖していたという、小説のような歴史を紹介する。 タイトル通り若干物語調だが、平易な文章で分かりやすくしつつ、堅実に事実を踏まえて解説される。 中世時点で没落したウェールズを支えたのは敵であるフランスやイングランドの影響を受けたアーサー王だった。最早切れぬ縁と化している各ブリテン諸島国家だが、それを繋げるのが物語だと思うとロマン調にしたくなる気持ちも分かる。2019/07/30