内容説明
仕事も恋も上手くいかないつき子は、ある晩、ガラクタばかりの骨董品屋に迷い込む。そこは古道具に秘められた“物語”を売る店だった。未亡人を未来へと導いた時刻表、母と娘の拗れた関係を解いたレース、居場所のない少女に特等席を与えた椅子……。人生の落し物を探して、今日も訳ありのお客が訪れる。つき子もまた、ある指輪を探していた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
52
「がらくた」はそれに興味が無い第三者が「モノ」に対して見下す言葉だと思っていた。一方で、自分にとっては何かの物語をまとった大切な宝物であって、むしろ尊重して欲しかったりする。誰かが使った古道具や生活用品には物語が宿ることがあるという。仕事も恋愛も思うようにいかず、人数合わせで誘われた飲み会の帰り道、主人公のつき子は人通りの少ない空き地で、大きなトランクを開きがらくたを売る骨董品屋と出逢う。店主は月明かりの下でブロカントたちの物語を語る。物語を売っているのだ。千一夜物語もオマージュされた魅力的な作品。2025/04/20
凛
49
夜の公園で、がらくたとそれにまつわる物語を売る骨董品屋。静かに語られる「物語」は少し切なくて、優しく温かい。読んでいるうちに日常に疲れて固く強張っていたこちらの心も解かれるよう。たとえがらくただとしても、本物ではなくても、それを必要とする人にとってはとても大事な物。物がありふれている今の時代、新しい物はいくらでも手に入るからこそ、本当に替えのきかないような大切な物を見失わないようにしたいなと思う。少しずつ近づいていく主人公つき子と天地の関係も良かったけれど、この先も気になるので続きが出てくれると嬉しいな。2018/03/08
吊り太郎
47
思い出の時修理しますの著者で、気になり購入しました!! 他人には、がらくたに見えても落とし物をした当事者の目線では、その物に対する様々な人間模様・思い出があり価値がある物である。物をただ売るのではなく、その物が辿って来た歴史、秘められた物語は一緒に購入する事で意味を持つ。 思い出の時修理します。の様にシリーズ化するのか?気になりますね!つき子と天地の関係が中途半端で、、やっぱりシリーズ化ないですよね( ノД`)…2018/02/06
たるき( ´ ▽ ` )ノ
46
とても良かった!ひっそりと静かで、穏やかに心を照らしてくれる、月のイメージがぴったりな作品。ブロカントという言葉は初めて聞いたが、その響きが更に作品にあたたかさを与えていると思った。読んで正解だった(*´∇`*)2018/04/14
たるき( ´ ▽ ` )ノ
43
再読。内容をすっかり忘れていた!童話のような雰囲気だけど、最後はかなりヘビーな印象。でも月の光のような、静かな優しさを感じられた。2021/06/13
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