内容説明
人間存在を心身の相対的な枠組みのなかで総合的に理解しようとしたC・G・ユングの考え方をもとに、著者自身の臨床観を簡潔に紹介し、さらにはユング派精神療法の真髄とも言える夢分析の実践事例のプロセスを丹念にたどった貴重な一書。演奏時の手の震えを主訴として訪れたヴィオラ奏者が、夢を語るなかで自身に起こっていることの意味に気づき、しだいに薬の助けなしに演奏ができるようになっていく様子が、生き生きと描かれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
39
ユング派精神療法家の著者が自身の臨床経験を紹介しつつ、人間を心身の相対的な枠組みの中で総合的に捉えようとしたユングの在り方をベースにユング精神療法の基本の夢分析の実践の過程を丹念に辿る。手の震えで演奏が出来ないヴィオラ奏者が夢を語る中で、生じている自らの内面の問題の意味に気付き、無意識の助けで、手の震えが解消したと云う。精神療法家と患者とが対等に心の交流を行うユング派精神療法の過程をつぶさに伺い知ることができた。最後に著者は云う、ユング派精神療法家の在り方は、松尾芭蕉の「不易流行」そのものであると。2020/01/27
あい
1
2回目2024/12/05