ちくま学芸文庫<br> ムッソリーニ ──一イタリア人の物語

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ちくま学芸文庫
ムッソリーニ ──一イタリア人の物語

  • ISBN:9784480098078

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内容説明

鍛冶屋の息子として生まれた男は、いかにして統一以来のイタリアを象徴する指導者となったか。パレート、ソレル、ニーチェの影響下での思想形成、資本主義と社会主義を一挙に否定する「第三の道」の追求、国民ファシスト党の結成と政権獲得、多彩な女性遍歴、第二次世界大戦の敗北、そしてパルチザンによる殺害──。その生涯は、新しい社会を創造するための天命の意識に貫かれていた。従来のイメージを刷新するのみならず、一個の叙事詩にも比せられる卓抜なムッソリーニ伝。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

22
ファシズムとナチズムの違いを部分的に示唆している点は参考になる。ムッソリーニにとって世界戦争はファシスト革命の延長で、西洋民主主義国家の覇権主義を打倒し、インド・アラブ諸国の独立も含めた世界の再編成の実施を目的にすべきと考えたのに対し、ヒトラーはゲルマン民族の優越性を主張し、英・米・仏の覇権の代わりにドイツの覇権を構築しようと考えたという。又、ヒトラーが黄色人種の日本人に対する偏見を持っていたのに対して、ムッソリーニは黄禍論を否定していたそうだ。イメージの刷新を試みた著者の思いは随所に感じられた。2017/09/20

ステビア

15
優れた伝記である2021/02/07

筑紫の國造

14
これは良かった。ヒトラーと違ってあまり目立たない「独裁者」ムッソリーニの人生を、日本人にもわかりやすく紹介してくれている。ムッソリーニはイタリア人らしく女性好きながら、情熱的で情に厚く、行動力のある「革命家」。最後まで祖国イタリアの運命を諦めず、劣勢の中でも戦い続けた。国民からの絶大な指示は、彼の人気が本物だったことを示す。イタリア人の複雑なコンプレックスを解消するために登場したのが、彼だったのだろう。著者は日本文化に精通した本外交官で、保田與重郎とも親しかった。だからこそ、日本人の心情に訴えかけてくる。2018/06/21

穀雨

9
再読。ムッソリーニの生涯が公私の豊富なエピソードで語られていて、たいへんおもしろいのだが、話が進むにつれて著者のムッソリーニ愛が高じてきて、終盤はやや食傷気味となった。ムッソリーニやファシスト政権の功績に紙幅を割く一方、負の側面については多くを語っていないので、他のムッソリーニ本とあわせて読まれるといいと思う。2021/11/27

ナン

7
ムッソリーニの伝記は初めて読んだが、まず読み物として面白かった。特に前半、首相就任に到るまでの立身出世の物語が面白い。ふるさとで、スイスで、ミラノで社会正義を実現しようと奮闘する姿が活き活きと描写されている。また、マルクス、ソレル、ニーチェなどの彼の思想の背景や、文学者・哲学者等とも交友関係が広く、ヒトラーと比べればその知的背景が広いことに驚かされた。この本がムッソリーニに好意的すぎるという面はあるものの、もし戦争で中立を保っていたら、世界的にも偉大な政治家として名を残せていたのではないかと思えてしまう。2020/08/27

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