内容説明
人口減少社会における居住は,個人にも,地域にも,社会にも今や大問題.「一家族一住宅一敷地」という考え方はもはや古い.住宅に求めるものは,長い人生のステージに合わせて,さまざまに変遷していくことに注目.町の多様性をいかに担保していけるか.居場所づくりのユニークな事例を多数紹介し,これからの住まいのあり方を考える.
目次
目 次
はじめに
住み熟す/ 「街」と「まち」と「町」/田舎町の多様性/多様性のある町へ
第一章 時間──人生のスパンで住宅を考える
1 町が住みこなせない
ハウジングのはじまり/日本での公的ハウジング/住宅不足の半世紀/四二〇万戸の住宅不足/戦後の住宅政策/ニュータウン/アメリカの住宅地から/民間住宅地開発/国家主導のハウジング/量から質へ、経済へ/住宅双六
2 町の生態学
ニュータウンの「老い方」/高齢化する分譲系住宅/高齢化しにくい賃貸アパート/三五歳と生まれたて/アメリカで引越しが多いわけ/中古住宅が流通しない日本
3 町の機能の多様化
住宅用途から非住宅用途へ/住宅以外の用途も変わる/まちなみのルール/自縄自縛な用途規制/町の成長/嫌われる賃貸アパート/異種排除という課題
第二章 家族──十家族十色の暮らし方
1 住まい方は家族それぞれ
家族と世帯は違うのか/文化によって異なる家族/戸建て住宅を超える集合住宅の住みこなし/大きな家族が住む団地/戸建て住宅団地の住みこなし/長屋門での住みこなし/済州島のアンゴリ、バッコリ
2 近居の力
近居とは/近居の実態/私の近居
3 町の多様性が近居を可能にする
オールド・ニュータウンで起きていること/空き家には誰が移り住むのか/多様性が町を救う/賃貸という多様性/ 「焼き畑農業的開発」を超えて
第三章 引越し──「gターン」がつくる生活の薬箱
1 住み替えとゆるい定住
住み替えという想定/ 「かたい定住」と「ゆるい定住」/住宅地間の浸透現象/長い目で見ないと何が幸いするかはわからない/集合住宅内での住み替え/ゆるい定住と地域循環居住
2 同じ町の中で移り住むこと──gターン
時間差で開発された町/ujiターンとgターン
3 町が「地元」になること
住めば都/町は生活の薬箱/拠点化されて地元となる
第四章 居場所──町のあちこちに主感のある場を
1 仮設住宅から学ぶ
阪神・淡路大震災から東日本大震災へ/孤独死はどう防げるのか/医・職・住を備えた仮設住宅/ケアゾーン/一般ゾーン/子育てゾーン/ガラパゴス化した災害救助法/人びとは団地のどこにいるのか
2 遠くの親戚よりも近くの他人
お茶っこ/家族資源・地域資源・制度資源/コミュニティ必要曲線/第一の青春/第二の青春/第三の青春/町にはいつでもコミュニティが必要である
3 「町の居場所」はどこに?
コインランドリー/眺め、眺められる町の居場所/ 「町の居場所」付き復興住宅案
第五章 町を居場所にするために──居場所で住まいと町をつなぐ
1 超高齢社会に求められる町とは
地域包括ケアシステム/人は住宅にも住むが町にも住む
2 時間──町をゆっくりと成長させる
高齢化しない町/最大瞬間風速的利益確保という課題
3 家族──多様な住宅を混ぜる
多様な住宅タイプを混ぜる町の提案/多様な住宅タイプを混ぜた集合住宅
4 引越し──町の住宅双六を
戸建て団地と集合住宅をリンクさせる/町の中での住み替え計画/住情報をつないで町の住宅双六をつくる/町の住宅双六で住み替えのラインアップを/親世代と子世代の老後の引越し先を一緒に考える
5 居場所──近隣に頼るきっかけの場づくり
他人に迷惑をかけないことの是非/箒の先一つぶんの慮り/自然と部屋から引き出されてしまう高齢者の住まい/住まいを多様な居場所でつなぎ、町を入り会いにしていく
あとがき
主要引用・参考文献一覧
図出典一覧
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