内容説明
現代日本SFの黎明期に、いちはやく長編『光の塔』を発表し、その後も無尽の博識と自在な語り口でSF界に存在感を示した天才作家・今日泊亜蘭。奇妙な発端が思いもよらぬスケールの展開を見せる中・短品群の中でも、「縹渺譚(へをべをたむ)」「深森譚(しむしむたむ)」の連作は白眉である。片田舎の孤児が思い出の女性との再会を求めさすらう物語は、今日泊の空前の演出のもと、読者に忘れがたい余韻と感動をもたらすだろう。代表的な作品集2冊を合冊し、さらに書籍初収録となる2編を加えて贈る。【収録作】「ムムシュ王の墓」「奇妙な戦争」「海王星市から来た男」「綺幻燈玻璃繪噺」「縹渺譚――大利根絮二郎の奇妙な身ノ上話――」「深森譚――流山霧太郎の妖しき伝説――」「浮間の桜 怪賊緋の鷹物語」「笑わぬ目」「いはゆる「あとがき」について(『縹渺譚』あとがき=今日泊亜蘭)」「今日泊さんのこと(巻末エッセイ=山田正紀)」/編者解説=日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
53
8篇。旧かな文体で650Pと時間がかかったけど、なんとも魅力的な世界観。近寄る者が謎の攻撃を受ける「ムムシュ王の墓」富士山を割ろうかとする何かの襲来「奇妙な戦争」動き回る水「海王星市から来た男」謎はまったく思いもよらない着地点を見せて前のめりで読んじゃう。孤児である絮二郎に聞こえる不思議な声、空を流れる彗星、夢のような古代の記憶「縹渺譚(へをべをたむ)」「深森譚(しむしむたむ)」の連作は輪廻からの人探しが北海道の山に潜む妖しい施設へ導くバラエティ豊かで幻想的な物語にうっとり。SFに人情ぶっ込むとこも良き。2020/04/06
そうたそ
26
★★☆☆☆ SF作家の元祖たるレジェンド的な存在らしい……が、旧字体を駆使した幻想譚等々、ちょっと読み進めるに個人的に辛いものがあり挫折。当然名作であるらしいが、SFの元祖ってこういうものだったんだ、と思った程度。2017/11/11
阿部義彦
16
分厚いけども読みでがあって良かったです。日本SF界の黎明期の最長老、今日泊亜蘭さんの中編集です。全然古くなってないし端正な正統派な語り口、これは病みつきになりました。そして、伝奇ロマン的要素の強い連作が凄いです。時と空間を超えた恋の絆。謎の出し方が秀逸だしユーモアも溢れて人を食ってる所も微笑ましい。代表作「光の塔」も是非探して読みたいです。1910年生まれなのにモダンです。2018/12/30
あ げ こ
15
面白かった、スーパー面白かった。素晴らしい自在さ。ふらりと諸々超え超え、宇宙さえ垣間見る旅をして来た気分。「綺幻燈玻璃繪噺」と言う魔法…。術中にはまる甘美さ。魅惑の幻術、鮮やかに欺かれる喜び。ちっとも不審に思わなかった。ただどこまでも登り詰めて行ける事が楽しかった。恍惚!「縹渺譚」、「深森譚」と言う迷宮…。そのスケールの壮大さ、途方もなさ。彷徨い、巡り会い、幾度となく見失い、多くを超え、多くを生き、多くを逃し。どこまで行くのか。どこまでも広がり行くのか。繋がりの妙。盛り上がりの妙。大迫力のクレッシェンド!2018/01/22
波璃子
13
日本で最初に長編SFを書いた作者の中短編集。伝奇もので、輪廻転生や上位存在など要素がてんこ盛りの「縹渺譚」「森森譚」とSFである「海王星市から来た男」が面白かった。旧かなづかいが読みにくくて時間がかかったけど、古さも魅力の1つ。2017/10/15
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