内容説明
上司の逆鱗に触れ「定年待合室」へ追いやられた、大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、家族のためにと50代で早期退職した矢先に妻を喪い、生きる気力を失う。
そんななか、ふとしたきっかけで「人助け」に手を貸し始めるのだが、そこで出会った人々もまた、職場や家族でそれぞれの鬱屈を抱えていた……。ベストセラー『定年後』(中公新書)の著者・楠木新氏が「定年後の道筋のヒントを指し示す、リアルな物語」と大絶賛!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どぶねずみ
30
組織の規律や風習にがんじがらめにされた人たちも、決して仕事ができないから左遷させるわけではない。たまたまその時の運が悪かっただけだ。今までの経験やコネクションを生かして、伸び伸びと働くおじさんたちが羨ましいなぁと感じた。私自身もいつまで会社員やっているかわからないけど、今感じている辛さも、このおじさんたちのように後々に良い経験となってくれたらと思う。2018/02/04
myunclek
15
いつも人間って、誇りを持って仕事をしたい動物なんだろな。組織に組み込まれた中で一握りの人以外は多かれ少なかれ、この物語の定年待合室を経験するだろう。生活出来るだけのサラリーさえ貰えればと、仕事に拘らなければどうと言う事は無い。しかし簡単に割り切れないから苦労する。通り過ぎた道だからこそ、身につまされながら読み進んだ。4話の人の住む郷では、一つの目標に向かって奮闘できる人間の喜びや苦しみ。そして、さらに強まる信頼や絆に心が揺さぶられた。酒呑み仲間も捨てたもんじゃ無いね^ - ^2020/03/18
たがみ
10
早期退職した元サラリーマンが人と協力しながら色々な課題を解決して行く話。ある日家の中から発掘された本。どこで買ったのか。。しかし見つけてよかった、面白い。一話完結型の中編集で、車販売店経営や、不動産販売、限界集落の買い物難民といった課題を解決して行く。それぞれでぴったりの協力者が見つかるというのはいかにもご都合主義だが、解決方法は現実的で、読んでいて腑に落ちる。共通してでくるクラブの皆のキャラクターもまた魅力的。2018/08/18
よし
8
題からは先の見えない話だけど、読んでみると、悶々と日々を過ごしていた男達の「俺たちはこのままじゃ終わらない」再生物語だった。 百貨店外商の「クレームの迷路」高級車販売の「埴輪の営業マン」不動産売買の「売れ残った城」のエキスパート達が難問解決に切磋琢磨していく姿は、涙ぐましい。そんな彼らが再び立ち上がっていく姿は、まさに「ブレーメンの音楽隊」そのもの。なにか勇気がもらえるような読後感だった。真夏の暑さを忘れさす清涼感が一杯。 2018/08/31
みっちゃん
6
企業の中である日突然閑職である部署に異動させられたが、妻の病気の機に早期退職した主人公が、行きつけのバーのマダムに頼まれマンションの販売や営業先のトラブルに解決に動き出す。そこで登場するのが、経験や人脈も豊富なその道の元プロ。私も長年仕事をして退職した後、どう過ごしてよいか分からなかった。趣味やボラもしているが、時折人手不足で頼まれて仕事に行くと楽しいと思ってしまう。いつまで何してんだろうとは思うが、頼られたり、何かをやりきったりする事は、背筋をピンとさせてくれるものがある。2022/08/20