内容説明
法然が登場する以前、仏教は驚くことに、一部のエリートのためだけに存在する宗教だった。漢文で書かれた難解な経典が読めること、日常生活を気にせず修行に打ち込めること、が条件だったからだ。しかし実際に苦しみ、救済を必要としたのは、文字も読めない市井の人びとに他ならない。そこで法然は、誰でも、いつでも、どこでも実践可能な「念仏」を柱とする浄土宗を打ち立てた。この『一百四十五箇条問答』は、法然の教えに惹かれながらも、従来の仏教との違いに戸惑ったり、生活を改めなければならないのかと不安に思った人びとの145の疑問に、法然がやさしく答えたもの。浄土仏教や法然その人を理解するための、またとない入門書となっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
にいたけ
42
仏教は一部のエリートのためにだけ存在する宗教だった。しかし仏教を必要としていたのは実際に苦しんでいる「市井の人々」だった。文字の読めない人々のためにいつでもどこでも実践可能な浄土宗を打ち立てた。大革命である。不安に思った人々のために法然が答える問答集である。法然の寄り添う視点がやさしい。生きることがとても大変だった時代、南無阿弥陀仏に救いを求めた人々は本当に救われたのだろうか?2024/07/31
moonanddai
7
ある意味「布教の現場」。当時は「従来の伝統的な仏教を耳にし、学んだ人も多く」「民間信仰がかなり定着し」ていたとある。確かに質問は神仏の宗教儀礼または社会生活に関するものが多いようです。ニンニクや肉を食べてお経を読んでいいかとか、子どもを産んですぐお参りできるかとか、往生する際の五色の糸の持ち方とか…。これらに「念仏だけしなさい」と(型どおりに)は言わず、問題ないですとか、合掌して持ちなさいとか、丁寧に答えているのが印象的です。そういえば答えの中に「念仏」という言葉は比較的少ないようにも感じたのですが…。2022/03/27
はるたろうQQ
1
法然は煩悩具足の身から一向念仏の世界観を作ったが、その考え方は極めて柔軟性に富んでいる。酒を飲むことは罪かという問に「まことには飲むべくもなけれども、この世の習。」と答える。一方で五逆十悪の罪を犯しても一遍や十遍の念仏で消し去ることはできるかと問われると「疑いなく候」と明確に答える。この臨機応変な答えに上人の全てがある。古くから本書が愛された所以であろう。それにしても多くの忌みに拘束されていた当時、本心から唱える念仏のみで救われることを説いた法然は革命者であった。「仏教には忌みということなし」と断言する。2025/03/21
山根清志
1
「はっさいかい」を「八戒斎」としているのは誤植?2022/02/04
えぬざき
1
法然が市井の人や僧、尼僧等と問答した内容がまとめられた一冊。筆者の主観が強い解説となっているため、学術系の本とはいいがたいものの、法然の教えを簡単に学ぶための入門用として考えれば適切。法然に対する問いにかぶるもの(特に忌みに関するもの)が多いように感じていたが、巻末を読んで納得した。法然の生きた当時は識字率が知識階級を入れて2,3割と低く、漢籍を読める者は一握りしかいなかった。当然、仏教の教えを解する農民たちなどいるはずもなく、民間信仰ばかりが先走り、信仰の在り方というものが危うい時代にあった。2021/04/04
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