内容説明
「近代の意識」と不可分に結びついて始まった心理療法は、ポストモダンの時代を迎え、もはや成立しがたい状況に直面している。現代の精神病理を代表する解離性障害や発達障害は心理療法をどう変えたのか。現代の意識の特徴である「サイコロジカル・インフラの消失」とはどのような事態か。人類の精神史において心理療法というプロジェクトがどのように展開してきたのか、そのプロセスを解き明かし、今日の在り方を根底から問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
素人
3
ユング派精神分析の立場から、心理療法の歴史と今後の展望について述べた本。神経症の治療から出発した心理療法は元来、他者を欠いたまま自己に回帰し続ける近代的な自己意識を対象としていた。一方、解離や発達障害が問題となる現代人の心においては自己と他者が未分化なまま断絶しており、それゆえ心理療法はある種の行き止まりにあると説く。発達障害と心理療法の関わりについて述べた第8章が特に興味深かった。同章で記述される発達障害者の心的世界は実感を伴って理解できたし、環境調整による「適応」以外の可能性が示唆されていて新鮮だった2021/05/29
清水聖
0
今これを読めたことは、本当に幸せだったと思いますっ。 自分で自分を褒めたいと思いますっ。 「心理学よりも心理学な心理学ではない心理学」とか、 「心理療法よりも心理療法な心理療法ではない心理療法」とか。 そんなのを考えていく必要があるんだろうな…2019/07/09
しょうゆ
0
タイトルからものすごい悲観的な内容を想像したが、著者のたゆまぬ心理療法への実践とユングへの理解によって到達した21世紀の現在の心理療法の在り方を再構成するような作品であった。力強い筆致もさることながら、ユングやギーゲリッヒの言葉の切り取り方が秀逸であり、この作品を通して改めて、現代におけるユングの意義が見いだされたように思われた。2018/06/18
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