内容説明
幕末の江戸に登場したナゾの浮世絵師・歌川広景(ひろかげ)が描いた「江戸名所道戯尽(どうけづくし)」全50作品でみていく「笑って、ふざけて、ずっこける!」おバカな江戸っ子たちのユニークな名所図。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんご
38
ペラリンコ。歌川広重ならぬ歌川広景の作品集。まあ実にバカバカしいんだけど浮世絵って楽しむものなんでしょ?だからとてもいいよ。広重の弟子とされてて、詳細はあまり分かっていないようです。広重や北斎の絵の構図が類似してる作品がちらほら。比較のため並べられてるんだけど、先輩方の絵の完成度が際立つwでもいいの。なんか教科書に落書きをするうちの子供を彷彿とさせるです。2022/02/04
sofia
33
歌川広重ではなく歌川広景(広重の弟子らしい)の浮世絵「江戸名所道戯尽」。出てくる人間はだいたいすっ転んでいる。広重の作品をうまく言えばオマージュ、悪く言えばパクリ。北斎と広重が一つの作品におさまり、すっ転んだ人がいるのは完全なパクリだろうが、この時代に著作権なんてものはない。こんなことをするのは文化的にゆとりがあるからだろうが、前書きを読むと、どうやら幕末の桜田門外ノ変が起きたころで、漠然とした不安があったと書いてある。2023/11/23
ケ・セラ・セラ
24
広重の弟子とされる歌川広景の《江戸名所道戯尽》全50点が解説付きで掲載。副題にもあるようにお笑い江戸名所。師匠の広重や北斎の作品を丸々模倣したり、パロディに仕立てたり。描かれた庶民の表情が豊かでユーモラスな姿が面白く、笑い声まで聞こえてきそう。こちらも愉快な気分になってきます。これは原画も観てみたいな。2021/04/04
みさどん
14
文化作品は有名なものしか目にしていないので、こんなおもしろい作品もきちんと保存されているんだと驚く。転んだり失敗したりして起こる意外な様子を、有名な絵を模写したり参考にしたりして一枚の浮世絵に仕上げてある。女性の顔がまさに浮世絵の美人画で、男性や犬や異形のものなど、よくある絵になっているのでとっつきやすい。にしても犬の横顔はプロの絵描きならもっと描けるでしょうに、なぜに狸のようなのだろうといつも思う。こういった絵から昔の生活様式がわかるのだな。2019/10/13
オリーブ
14
広重の弟子だったらしい歌川広景の『江戸名所道戯尽』。広重は師匠だったからまだ分かるけど北斎までもパクりまくっててこれ、現代だったら訴訟ものなんじゃ?ってくらい。版元の指示もあったようだし当時はそこら辺は緩かったんでしょうね。良い時代だー。元絵が静けさや趣があるだけにより一層笑えるんだけど、中にはおふざけが過ぎやしないか?と心配してしまうくらいの絵もあったりして(汗)とにかく転んだ絵が多い。人の失敗を笑うのっていけないと思いながらも滑稽だなと思うのは性格悪すぎ(?)変顔コレクションの天眼鏡は大笑いしちゃった2018/01/16