内容説明
「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」。大英博物館の本棚にはない、ものを書きたかった/書こうとした女性たちの歴史を熱く静かに紡ぐ名随想、新訳登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
116
初ウルフ。これは随筆なのだが、架空の女性作家を登場させるなど現実と虚構が混ざり合った擬似的な小説の感覚で読めた。主題は「女性と小説」。先駆となる女性作家の歴史を女性の社会的立場の変遷と共に紐解き、彼女たちの心情などが語られる。オースティンは執筆を共用の居室でしか出来ず、集中できる環境ではなかったらしい。女性の創作への理解が全く為されない時代があった。これが書かれた1920年代でもまだ不遇だった思う。でも彼女は本作の主張として男女の対立(比較)よりも小説を書いて欲しい、それが大切と締め括るのが印象的だった。2020/08/01
ケイ
115
講演会を書き起こしたものとしてこれと双璧を成すと思うのは、夏目漱石の『私の個人主義』。どちらも学生に呼びかけたものである。あと、カート・ヴォネガットが様々な大学で卒業生に向けて講演した話を集めて訳されたもの(円城塔訳)。大学は、新入生に教授陣選出の推薦図書リスト提示するのもいいが、卒業生にこのような本を餞として送って欲しい。ウルフはコールリッジを引き合いにだし、両性の調和を説いている。女性的部分を持つ男性、男性的部分を持つ女性について触れている。過激なフェミニズムを説いているのではないと私は理解した。2024/08/04
どんぐり
108
ケンブリッジ大学で〈女性と小説〉をテーマにヴァージニア・ウルフが講演した、1929年初出の評論集。「なぜ男たちの飲み物はワインで、女たちは水なのか? なぜ男性はあれほど裕福なのに、女性はあれほど貧乏なのか? 貧困は文学(フィクション)にどう作用するのか? 芸術作品の創造に必要な条件とは何か?」、講演会場へ向かう道すがら思索するウルフ。そのためには、「ワイン」を飲むお金と「自分ひとりの部屋」を享受すること。→2024/09/01
アキ
93
およそ100年前ケンブリッジ大学で女子学生に行われた有名な講演の書籍化本。この書に「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」という有名なフレーズがある。イギリスにおける女性の作家の変遷と、もしシェークスピアに妹がいたらなどの空想、その頃のフェミニズム運動にも言及し、架空の女流作家に「あと百年経てば、彼女は詩人になるでしょう。」と声をかける。さて現在、多くの女流作家が花盛りのように思えますが、著者であればなんて論評するのでしょう?まずまず満足できる状況なのではないでしょうか。2020/11/11
ネギっ子gen
69
【女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない】「女性と小説」の歴史を、熱く静かに紡いだ随想。原書は、ウルフがもっとも充実していた1929年刊(本訳書は2015年)。詳細な訳注と、訳者解説。<なぜ男たちの飲み物はワインで、女たちは水なのか?なぜ男性はあれほど裕福なのに、女性はあれほど貧乏なのか?貧困は文字にどう作用するのか?芸術作品の創造に必要な条件とは何か?わずかなあいだにたくさんの疑問が生まれたのです。しかし、いま必要なのは疑問ではなく答え>だ、と。腰を据え、味読しました。⇒2024/08/12




