内容説明
フランスでは、ISのような過激派組織に洗脳される若者が増加し、大きな社会問題となっている。著者は、子どもを組織に取り込まれて苦悩する約400の家族に接し、その恐るべき実態を分析した。
第1部では、組織による洗脳や取り込みの手口が具体的に説明されている。イスラム系セクトのメッセージはインターネットによって流布され、段階を追って巧妙に若者を洗脳していく。食品・薬品やエコロジーへの批判、消費社会のスキャンダルなど、組織が作成する動画を通じて、若者は「世界は嘘だらけで退廃している」という思いを抱く。自室という安全な空間で、次々とパソコン画面をクリックしていくうちに、その思いは「世界をよくするために何かをしたい」「自分はそのために選ばれた人間なのだ」と変容し、より攻撃的で過激な思想へと飛躍していく。
第2部では、組織や洗脳から脱却させる方法を示す。いったん洗脳されてしまった若者を脱却させるためには、家族の協力が欠かせない。脱却に成功した人の体験談や感化防止センターの支援は大きな意味をもつ。
これらの事例は他人ごとではないはずだ。全世界に警鐘を鳴らす生々しい証言である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
8
ISらイスラム系セクトによる洗脳の手口と、洗脳を解いて組織から脱却させる方法を解説した本書は小著ながら示唆に富む。著者は感化防止センターを立ち上げてわずかの期間で千件以上の相談を受けたそうだが、中流家庭の多様な若者がネットを通じて短期間で感化されていくというフランスの深刻な状況に戦慄する。もちろんフランスだけのことではないだろうし。善悪二元論的な世界観に基づく情報発信はネットと親和性が高いのかもしれないな。あるいは、価値の単純化を促し易いと云うか。2018/02/13
スウィーニー校長
6
★★★★☆ イスラム過激派による洗脳に対処したフランス人の書。 第1段階:「この世は嘘と陰謀だらけ。イルミナティ、フリーメイソン等々。この真実を知ったあなたは選ばれし者」と思わせる。 第2段階:真実を知る者のコミュニティーへの参加と、周囲との決別を促す。 この様な手順でネットを通じて洗脳対象を探し、実際に洗脳を行った。 カルトの洗脳・マインドコントロールに引っかからない為には、その手口を知るのが重要だと思う。2018/04/21
yam6
3
フランスでは若者たちがイスラム原理主義(ジハーディスト)に洗脳されシリアに行ってしまうことが現実の問題になっている。我が国ではどうなのか?もちろんISの脅威は例外だが、中朝からの思想工作にからめとられる若者は問題にならないのか? それはともかく、本書は、精神医学的・心理学的内容が意外と多く、洗脳を解くための教科書になっている。2019/05/19
Humbaba
2
人の心は意外と簡単に変えられてしまう。ましてそれが子どもであれば、その傾向は更に強くなる。ただし、一度洗脳されたとしてもそれが永続するわけではない。かつての楽しかった記憶を想起させることで、関係を再構築できる可能性は残っている。子どもを制限しすぎるのは良くないが、放置するのとよく見ていないというのは大きく違うので注意が必要である。2017/11/23
トーテムポールさん
2
「ジハーディスト」は、思春期特有の孤立感や疎外感を「それは神に選ばれたから感じるのだ」と刷り込ませ、そして世の中は嘘と欺瞞に満ちているという、陰謀論的二元論の世界に引きずり込み、周囲から孤立させ、最終的に個人としての人間性を剥奪し、完全な組織の一部へと仕立てあげる。このようなプロセスを知らなければ、洗脳された若者の人間性を取り戻すことは不可能だ、という視点からその巧妙な手口と、そこからの脱出方法を紹介する。彼らのやり口は正直、上手いと思ってしまった。選ばれし人間と呼ばれて、嫌な気になる若者はいないだろうし2017/10/22




