内容説明
80年代の上野界隈でネオンを輝かせていたフィリピン・パブ。
父親の経営する店の人気者だった姉は、AV女優として成功したけれど……。
麻美ゆまにインスパイアされた表題作の他、「午前零時の同窓会」「月夜の群飛」「鶯の鳴く夜」「吉原浄土」を収録。
石井光太は『物乞う仏陀』や『遺体――震災、津波の果てに』など、この世界の非情なる現実を見つめて、われわれの振舞うべきスタンスを、真摯に問い続けています。
ここ十数年で風俗業界も大きく変わりました。かつて女性が生きるための最終手段だったものが、いまや“普通の貧困”によって、生活費を得るために体を売るようになっているのです。過酷さの質が変わったのかもしれません。
『世界で一番のクリスマス』で、石井光太が描いているのは、東京・上野界隈にある風俗業界で必死に生きようとする女と男たち。
女性用デートクラブ、無許可営業のデリバリーヘルス、廃墟と化したラブホテル、風俗嬢の駆け込み寺となるクリニックなどを舞台に、男女のせつない心情の遍歴を、丹念にたどりながら見つめています。
表題作の主人公は、AV女優の姉を持つシングルマザー。上野駅ホームで撮影した本書のカバー写真にも協力してくれた伝説の元AV女優、麻美ゆまに、石井光太がインスパイアされて書いた作品です。
クリスマスの夜の奇跡を、お楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さぜん
55
上野界隈の風俗界で働く人々の悲喜こもごもを描く短編集。石井さんだから現場取材をした上でのフィクションなのだろう。「吉原浄土」は婦人科クリニックが堕胎から水子供養までをビジネスとする話。人はそこまでするのかと暗雲たる気持ちになる。どんな境遇でも人は生きていく。そこに光をあてる視線は優しい。石井さん、読み応えある小説を書く作家になったと思う。2018/02/04
ちゃんみー
42
ノンフィクションに仕立てるのではなく、小説としてこの世界(風俗関係)にいる女性の生きづらさを綴っているって感じでした。石井光太氏の本なので手に取った本でしたが、その時は表紙の女性に気がつきませんでした。ゆまちゃんだったんだ、と気付いて始めて内容がその関係なのかとわかった次第です。2018/03/13
スノーマン
33
フィクションなんだけど、作者が石井光太だと、現実にこの人たちいるんじゃないかと思えてくる。特に『吉原浄土』の凄まじさ。風俗のお仕事って身も心も本当削り取られるんだろうし、でもこの仕事をしてお金を稼ぎ生きていく糧にしてる人もいれば救われる人もいて、縁が無いというだけで自分の知らない世界という線引きだけは出来ないなと感じた。どの話も重たかったけど、最後の表題作は希望が感じられてホッとした。2018/01/20
信兵衛
33
全篇を通して強く感じることは、たとえ風俗業界であろうと、そこに関わる男女は、自分の仕事として懸命に従事しているということ。 関わったことがないのでどこまで真実なのか知り様もありませんが、その過酷な状況には絶句する思いです。2017/11/04
むぎじる
30
風俗業界に携わる人々の5編からなる短編集。痛々しくて読んでいてやりきれない気分が高まり辛い読書になった。気になったのは・・・体を売る業界でしか働いたことのない麻美。たぶん違う職業に就きたいという希望もなく、この世界で生きるしかないと考えているのだろう。どこまで流されていくのか不安な気持ちでいっぱいになった「月夜の郡飛」。奔放でアグレッシブな姉に翻弄され続け、疲れ切って距離を置いていた妹。再会と2人の関係の変化を描いた「世界で一番のクリスマス」。2019/11/14
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