内容説明
友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみん
102
マイコは日本人として生まれながら戸籍もなく、父親も自分の本当の名前も知らない。様々な国を転々として学校はロンドンの小学校迄しか行っていない。そんなマイコのナポリでのスラム街底辺生活の日常に圧倒される。母親の不可解な言動。日本のマンガに熱中して母親に嘘を吐いてカフェに通い詰め、出会った日本人のパソコンと携帯を衝動的に盗む。逃亡中に仲良くなったエリスとアナは難民。彼女達の苛酷な過去。マフィアに睨まれ命の危険も。別れた母親への思いと衝撃的な自分のルーツ…ラストはいきなり感もあったが、新しい人生へ道は繋がる。2017/10/10
shizuka
76
桐野さん、まあまあ当たりの一冊。無国籍の少女舞子。母親の本当の名前すら知らされていない。幼い頃から母と二人、各地を放浪して暮らしている。今いるのはナポリのスラム街。母から自立し二人の密入国者の少女と出会う。三人で力を合わせて生き延びようとする。生きるために盗む、生きるために騙す。四角四面の善悪では語り尽くせないアンダーの世界。舞子が知った母、そして父の正体。舞子は真実を確かめたい。そのためには再度母と会う必要がある。物語は世界の非常を孕み前へ進む。面白いが終わりが突然訪れ、あっけにとられてしまった。あれ?2018/02/27
yomineko@ヴィタリにゃん
74
国籍がないというマイコは悲惨過ぎる。母親は整形を繰り返しあちこち彼女を連れて逃亡生活を送る。ナポリでの漫画喫茶のシュン、エリス、アナと出会う。最後は尻切れトンボで終わってしまったが面白くて一気読みでした😊 2023/05/13
カブ
68
ナポリのスラムに住む、マイコ。母親に、「他人に本当の名前を教えてはいけない」と言って育てられ、小学校しか行かせてもらえなかった18歳。多感な年頃、同年代の友達や恋人も欲しい。そして自分を見失わないように七海さんに手記のような手紙を書く。スピード感溢れる展開で読み手を飽きさせない。いろいろな匂いと、狭い路地や、雑多な街の感じが好き。2017/08/31
りょうこ
55
文庫化待ちしてました!桐野夏生さんは中毒性あります(笑)もう読むか〜!なんて思っても新刊出ると買っちゃう!今回は謎が多くて一気に読んだ!面白かった!2017/08/19
-
- 電子書籍
- はじめの一歩(80)