内容説明
中国は儒教の国ではない! 道教こそが今でも生き生きと脈打ち、人々から篤い信仰を得ている。「道教がわかれば、中国のことはまるごとわかる」と魯迅は言ったが、中国人の精神構造を知るための鍵は道教なのである。では道教とはなにか? この問いに対する答えは単純ではない。なぜなら、道教は教理、哲学、経典を中心にした宗教体系ではなく、呪術、儀礼、戒律を基礎とした民族宗教であって、文献・資料からだけではその全貌を窺い知ることができないからである。本書では文献による歴史的理解は当然のこととして、東南アジアの華人街の現地調査も踏まえ、中国人のこころの拠りどころとしての「気の宗教」の本質を紹介する。冒頭に初学者のための「道教をめぐるQ&A」を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
10
仙人・呪言・呪符・煉丹術・日本文化との関わりなど道教にまつわる諸要素について解説している。個人的に面白かったのは、岡倉天心が道教に入れ込んでおり、その研究は当時としてはかなり高水準であったということと、最後の気功と中国政府との関係をめぐる話。気功が劉貴珍という共産党員を通じて発見され、ある意味「創造」されたということと、文革や法輪功といった要因により、政府による保護と弾圧の波があるという話が面白かった。2017/07/13
灰月弥彦
2
十二国記の勉強用。老荘思想ではなく、民間信仰としての道教や呪物について解説しているので目的に合致しててよかったです。電子版はページ数が少ないのでもしかしたら一部削られてるかもしれません。2020/01/04
ポルターガイスト
2
講談社学術文庫の『老子荘子』に対し,こちらは老荘思想への言及はほぼなく,その後にほとんど別物として成立した道教についてのみ描いている。個人的には老荘思想も含めた道教の理解がしたかったので,これを先に読んだために『老子荘子』を読んだが,たぶん『老子荘子』を先に読んでいたらこちらは手をつけなかっただろう。種々の呪術に関する記述が延々と続き,中国研究らしいというか,正直読み飛ばした部分も少なくなかった。大筋の歴史も『老子荘子』のほうが掴みやすい。ただ現代の道教という視点はこの本にしかなく有益だった。2018/05/31
活字の旅遊人
1
すごくマニアックな、カルト的なところまで踏み込んでいる。いや、そこまでいかないと、ダメなんだ。理解するのは難しいが、中国を知るには必要な内容だろう。
すみの
0
そこそこ勉強してないと上清派なんていきなり言われても「???」ってなると思う。 ある程度分かってる人が読むには手広くざっくりまとめてあって面白い。 「???」となった方は山川出版社の世界史リブレット、中国道教の展開が短くまとまっててオススメです。道教は良くも悪くも雑多で面白いが全体像掴むのは結構難しいと個人的には思う。2021/08/28
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