石川淳/辻邦生/丸谷才一

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石川淳/辻邦生/丸谷才一

  • ISBN:9784309728896

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内容説明

闇市に現れた少年は神の子か狼か……石川淳「焼跡のイエス」、「国の守は狩を好んだ」に始まる王朝時代を舞台とした説話風物語「紫苑物語」、江戸人の精神に迫る「小林如泥」「鈴木牧之」「江戸人の発想法について」。 “大殿(シニョーレ)”織田信長の日本人離れした心と行動を異国人の眼を通すことで浮かび上がらせた歴史小説・辻邦生「安土往還記」。種田山頭火をめぐる文学史ミステリ・丸谷才一「横しぐれ」、小説的趣向に満ちた「樹影譚」。王朝文学や江戸文芸、西欧文学を礎に、稀代のモダニストたちが精緻に築き上げた傑作群を収録。

解説=池澤夏樹
年譜=中条省平
月報=鹿島茂・町田康

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

119
この巻には、石川淳、辻邦生、丸谷才一の作品が収められています。 池澤さんの選ぶ作品はやはり若干マイナーな感じがするものが多い気がします。石川淳は「焼跡のイエス」「紫苑物語」「小林如泥」「鈴木牧之」「江戸人の発想法について」、辻邦生は「安土往還記、丸谷才一は「横しぐれ」「樹影譚」です。石川のあとの三作、と丸谷の「樹影譚」は随筆のような感じで私には初読ですが楽しめました。2016/03/19

starbro

70
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ第十五弾です。ようやく半分まで来ました!三作家ともほとんど読んだことがありません。共通点は同世代で比較的長寿の作家だったということでしょうか?オススメは石川淳の「焼跡のイエス」と辻邦生の「安土往還記」です。パンクスで高校生の町田康が石川淳を愛読していたなんて初めて知りました。2016/04/11

たま

23
丸谷の小説を読んでみようと手に取った。『横しぐれ』は、日本文学研究者の語り手が、父親が戦前松山で偶然出会った男が山頭火だったのではないかと調べるうちに父親の秘密を知る話。山頭火の句集、全集を調べて推理するところは面白く、山頭火その人の佇まいが浮かんで感心したが、父親の秘密が私には興醒め。語り手が秘密を知らなかったのも、秘密を知る契機も不自然。非常に深刻な内容なのに、その深刻さが作品内で充分に受けとめられず、意表を衝く趣向として弄ばれただけと感じた。『樹影譚』も同じく趣向自慢の軽薄さが目につく。2021/08/11

ぐうぐう

23
今巻を読むと、この全集における池澤夏樹の編集方針がとても理解できる。それは、文学史の積み重ねにより新しい文学が生まれていくという実感だ。江戸文芸としての石川淳、ヨーロッパからの視点を用いる辻邦生、そして西洋モダニズムと日本の古典としての丸谷才一。特に丸谷の存在は、この全集の支柱としてあり、池澤にとっては灯台のような役割も果たしているはずだ。個人的には、辻の『安土往還記』がおもしろかった。欧州人から見た日本、そして信長のその新鮮な解釈は、私達に日本を再発見させる力を持っている。2016/03/24

秋良

13
驚きのリアリティを持つ辻邦生の安土往還記。え、これ小説?と分からなくなって解説を見てしまうほど。外国人の目線から、織田信長とコルテスを重ね合わせるのがユニーク。石川淳、丸谷才一もそれぞれ「これぞ小説」と言うような骨太の虚構世界を読ませてくれる。2022/04/02

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