内容説明
人間の身体的特徴だけでなく知能や学業成績、性格、精神疾患、攻撃性など「心」もまた遺伝するという衝撃の事実を明らかにしてきたふたご研究。その研究成果は徐々に社会に知れ渡るようになってきた。しかし、ふたご研究そのものはどれだけ知られているだろうか? 本書では、研究方法の基本から多変量遺伝解析、エピジェネティクスなど最先端のアプローチまで、進化し続けるふたご研究の現在形を第一人者が詳しく紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
32
雨女」の遺伝子があると考えるのは荒唐無稽なような気がするが、しかし何かのイベントに雨になりそうでも参加するか、雨になるくらいなら取り止めるかの性格傾向に遺伝要因が関与し、結果として「雨女」と呼ばれる遺伝的傾向が見出せるという意味での「雨女遺伝子」(もちろんたくさんのSNPの集まりとして)の可能性は、決して荒唐無稽ではない。/んー2019/06/10
ステビア
22
モデルやエピジェネシスの説明が特徴的2021/08/12
Humbaba
10
正しい結論を導くためには、しっかりとしたデータを集める必要がある。変数の数が少なかったり、簡単にデータを集められる様な対象であれば答えを導くのも可能だが、人間の遺伝が対象となると完全に正しいデータは得られない。実験は目的とする要素以外は同じ環境にすることが重要になるが、人間が相手ではそのような条件分けは不可能となってしまう。2017/11/25
ポレ
7
著者の専門である双生児研究による行動遺伝学を中心に、ふたご研究の概要から分析方法のテクニカルな遷移、最近の知見、そして最先端のエピジェネティクスや不一致性一卵性双生児の比較研究まで網羅している。『遺伝子の不都合な真実』と比べて専門的な内容を多数含み、3章からは数式や抽象的説明、遺伝子の名前が頻出する。一般向け解説書を4、5冊読んだ程度の付け焼き刃の知識では、なかなか理解が追いつかない。それでも人間を知る上で欠かせない知識となった、遺伝の影響についてより深い知見を得るために、苦労して読む価値はあると思う。2017/10/23
S
3
双子研究の実際について、その手法(おもに多変量統計)や歴史を含め説明。結果だけを書かれるより納得がいく。苦労して書かれた印象もあるが、丁寧に書かれており、よかった。2017/10/25