祥伝社文庫<br> 春雷

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祥伝社文庫
春雷

  • 著者名:葉室麟
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 祥伝社(2017/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784396343484

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内容説明

鬼隼人、許すまじ――怨嗟渦巻く豊後・羽根藩。新参の多聞隼人が“覚悟”を秘し、藩主・三浦兼清を名君と成すため、苛烈な改革を断行していた。そんな中、一揆を招きかねない黒菱沼干拓の命を、家老就任を条件に隼人は受諾。大庄屋の〈人食い〉七右衛門、学者の〈大蛇〉臥雲を召集、難工事に着手する。だが城中では、反隼人派の策謀が蠢き始めていた……。著者畢生の羽根藩シリーズ第三弾!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

101
豊後国羽根藩シリーズ第3弾。財政窮乏する藩の立て直しを図るべく新参として召し抱えられた多聞隼人。あまりに苛烈なゆえ「鬼隼人」とまで称された彼の改革。「政は善人面ではでき申さぬこの世の辛いこと、苦しいことを、あえて口にする悪人でなければ政は一歩も前には進みませぬ。」これは現代とて同じであろう。選挙の時ばかり「聞こえの良い公約」を声高に叫ぶ政治家のなんと多いことか。「大願成就」として最後にとった多聞の行動は痺れるほどであった。正に「鬼の生き様を通して正義を問う快作」である。★★★★2017/10/11

エピファネイア

94
葉室麟さんの代表作である羽根藩シリーズ3作目。1作目は言わずと知れた直木賞受賞作の「蜩の記」。本シリーズはそれぞれが独立しているので、どれから読んでも大丈夫。ただ、次作「秋霜」は本作の後日譚のようだ。本作の主人公は鬼隼人と呼ばれる孤高の武士。彼は藩の財政健全化のために痛みを伴う改革を平然と進めるので百姓たちは不満を募らせる。善政とは何か。疎ましがられても進めないといけない正義がある。「たとえおのれが苦しくても、子や孫を楽にするために生きようとなぜ思わぬ」という言葉は現在を生きる我々にも突き付けられている。2023/02/19

takaC

73
鬼隼人の生き様にはシビレたが、自分はまだ羽根藩シリーズのシリーズたる所以がくっきり理解できていない気がする。2017/11/28

ふじさん

67
藤沢周平なきあと好きな作家の一人です。硬筆な文章で最初は抵抗がありましたが、作家の描く人物に惹かれて読み続けています。この本は、葉室麟の理想とする真の武士、武士の正義とは描いています。これから新作が読めなくなるのが残念だ。 2020/01/14

つねじろう

55
見事な男である。と同時に哀しい男でもある。でもそれはそれは葉室麟だから。読み終えて泣いた赤鬼を思い出した。主人公は典型的な青鬼。破綻している藩の財政を一人で背負って立つ。年貢の取立ては有無を言わせず苛斂誅求。鬼隼人と呼ばれる怨嗟の的。その鬼が財政窮乏の切り札として挑戦するのは不可能と云われる沼の干拓工事。新たに大蛇の臥雲と人食い七右衞門の二匹の青鬼も呼び込み妨害や障害だらけの大工事は果たして成功するのか。主人公が鬼になった経緯も含めたっぷり読ませてくれる。怒涛のクライマックス、心打つ台詞の数々、痺れるよ。2017/10/07

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