内容説明
私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。シリーズ第一作の新訳版
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
404
★★★☆☆ フィリップ・マーロウシリーズの長編としては1作目に当たる作品。 1作目にして既にお洒落な文体とクールかつ優しいマーロウの生き様を堪能できる。 村上春樹氏の解説が素晴らしい。確かにプロットは練られているとは言い難く、都合の良い展開が目につき、最後に明かされる真相も「ふーん」で終わるレベルなんだけど、とにかくマーロウが格好いいのでそれだけで楽しめる。チョイ役に過ぎないハリー・ジョーンズの死に様も印象的だった。2022/09/01
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
133
大抵の死者よりも死にそうにみえる資産家の依頼を受け、彼の娘のトラブルを解決するためロスのダークサイドを奔走するフィリップ・マーロウ。年齢は33歳。地方検事局の捜査官を命令違反で免職になり、私立探偵に転じた男。依頼料は1日25ドル、プラス経費……。依頼人の二人の娘〜黒髪の美しい姉とブロンドのキュートな妹〜にベッドに誘われたり銃で撃たれたりしながら、ギャングと渡り合い警察を怒らせて自分の信条を貫く。1939年、レイモンド・チャンドラーが51歳で発表した長篇第一作。村上春樹氏の訳によるマーロウは若々しくクール。2016/03/12
やきいも
125
『「ガーディアン」が選ぶ必読小説1000冊』の中の一冊。訳者の村上春樹によるあとがきが素晴らしい。探偵マーロウが初めて登場するミステリー長編。チャンドラーの文章は一見、「荒削りでワイルド」だがよく読み返すと「繊細でデリケート」...こういうタイプの美しい文章を書く人を私は他には知らない。ただ、次から次に色々な登場人物がでてきてストーリーがやや理解しにくいのは、少しつらいです。私も「大いなる眠り(死)」につく前に悔いのない人生を送りたい。個人的にはまた読み返したい本。2016/01/22
セウテス
106
【私立探偵フィリップ・マーロウ】シリーズ第1弾〔再読〕。マーロウは老いた将軍に届いた、強請の対応に雇われる。しかし、訪ねた相手は射殺されており、依頼者の将軍の娘が裸で室内にいた。私にとってのハードボイルドは本作であり、何度も読んだ作品だ。それは形式などではなく、設定など大雑把にしかない勢いのまま書かれた様な、圧倒的な熱量を感じるからだ。文章の言葉選びが魅力的で、マーロウの生きるスタイルが兎に角カッコいい。大いなる眠りというのは、ひとつのたどり着いた境地の表現だろう。私の人生感にも、大いなる影響を与えた。2020/03/26
やいっち
89
「探偵フィリップ・マーロウの初登場作」とは知らずに読んだ。チャンドラー作品は『ロンググッドバイ』以来で、二作目(三作目)。筋が終えず、話しは面白いが何処へ導かれるか、途中読んでいて途方に暮れそうに。語りの面白さが読む手を離さない。最後にはミステリーの全貌が分かるわけだが、伏線は最初から仄めかされていたんだね。とにかく面白かった。2023/03/16
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