内容説明
「行方不明の兄オリンを探してほしい」突然現れたオーファメイと名乗る若い娘は、私立探偵フィリップ・マーロウにそう告げた。娘のいわくありげな態度に惹かれマーロウは依頼を引き受けるが、調査に赴いた先で、次々死体が……。事件はやがて探偵を欲望渦巻くハリウッドの裏通りへ誘う。『かわいい女』新訳版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
190
探偵事務所に来たお金もなく田舎から出てきた若い女が、失踪した兄の捜索を依頼する。そのカマトトぶりとマーロウの応酬が面白い。巻末で村上春樹もこの女性の描き方を高く評価している。マーロウの一人称の文体は、すぐ脇道に逸れて冗談をいう所が面白く、事情をくどくど説明しないのもよい。意図を明かさず危険な場所に入っていくため先が気になってどんどん読む。アイスピックでの刺殺。現場から立ち去った女は何者? マーロウは銃や刃物を持つ相手と渡り合い、弾丸よりも鋭い言葉を投げる。クールでありながら人間らしく柔らかい感情の持ち主。2026/01/08
セウテス
96
【私立探偵フィリップ・マーロウ】シリーズ第5弾〔再読〕。ハリウッドを舞台にしたくて、わざわざ書いた様な作品。マーロウの依頼者は、20ドルしか出せないと言う田舎の時代遅れの娘に見えた。しかし、彼女は演技をしているのではないのか、気になったマーロウは依頼を受ける。作者が映画の仕事をしていた頃だろうか、映画界の話はリアルだと思う。だが、ハードボイルドだろうがミステリとしては、何も響くものが無い。整合性は有るのだろうかと思えるストーリーに、ハラハラする緊張感を感じない。シリーズの中の一休み、という所かも知れない。2022/04/10
ムッネニーク
90
95冊目『リトル・シスター』(2012年8月、レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳、早川書房) 私立探偵フィリップ・マーロウシリーズの長編第5作目。初出版は1949年。訳者も後書きで書いているように、物語は非常にわかりづらくストーリーラインも出鱈目。結局誰が誰を殺したんだかよくわからない。しかし、やはりマーロウシリーズには時代を超越する強靭なキャラクター性があり、読み終わったあとは自分がマーロウになったような気分になれる。 「すべて愛のなせることだったの」2021/12/12
キムチ
55
半世紀ぶりのチャンドラー。WW2終結まなしのハリウッド。当然ながら、光と影が交錯するようなグレーの空気感が漂っている。原題「かわいい女」が当題になったのは納得・・田舎っぽい感じながら20ドル分の愛を失踪した兄捜査に思いを込めるオーファメイの直向さ。それをほっておけぬマーロウがそう感じたのか。20C半ばの米は誰しもが喰う為に必死の日々。女優と言えども足元に火がついている。メイヴィス・ドロレス共に罪はあれども切々たる心情が痛い。後半判明するもう一人の身内・・姉。その事情は後書きで。全体通じてプロットの複雑さ2023/08/12
サンタマリア
52
面白かった。マーロウがいきいきとしていた。話の流れはイマイチ分からんかったけど面白かった。チャンドラーにそういうのは求めてないのでいいけど笑。シニカルな語りはアイスピックに劣らない鋭さを持っており、緻密な描写は火薬の匂い以上に何が起こったのかを明瞭にしていた。数ページしか登場しない謎の刑事もなんか良かった。2022/05/07




