内容説明
1888年、フランスに滞在していた画家のゴッホは、己の右耳を切り落とす――現在でも語り草になっているこの衝撃的な事件はなぜ起きたのか? イギリスの気鋭の歴史学者が世界各地の調査をもとに新事実・新資料を発掘し、「狂気の画家」の知られざる一面に迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
311
著者は、ゴッホの研究者でもなければ美術の専門家でもない。ただの英国人の女性・美術教師だった。しかし、ゴッホの「耳切り事件」の真相がただただ知りたくて、当時のアルル住民1万5000人以上のデータベースを作り関係する書簡、論文を調べまくった。その間7年。いわば素人の執念が、この熱い1冊を生んだ。何と言っても功績は、ゴッホが耳のどの部分をどのように切ったのか、これまで不明だった所を特定したこと。病院でゴッホを直接診察した医師のメモを初めて見つけ出し、実物をこの本に収録している。「偉大なる素人」の感動作だった。2020/09/03
nico🐬波待ち中
97
謎に満ちた画家ゴッホ。自ら切り落としたとされる「耳」の謎を追う。著者の探求心は単なる謎解きに留まらずゴッホが絵を描いた背景も丁寧に綴られてありゴッホの魅力を再確認させるもの。彼が生み出す優しい色使いや筆のタッチは見ている者を癒してくれる。晩年、病に侵され思うように描けない苦悩や絶望。不安定な状況で描く絵は優しさとおおらかさを感じさせ、生きる力を連想させてくれる。日本の浮世絵から多大なる影響を受けたゴッホ。日本の地を踏むことはなかったけれど、彼の絵は彼に替わって日本の地を訪れ今も多くの日本人に愛されている。2017/11/04
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76
🌟🌟🌟🌟🌟。およそ、7年間かけて書き上げた大傑作。今年読んだ中で文句なしにNo.1の作品。ここ数年読んだ中でもトップ5に入る。専門家でもない謂わば一般人である著者が綿密な調査に調査を重ねゴッホの耳切り事件当時アルルに住んでいた15,000人分のデータベースを作り上げ、それを武器にゴッホの謎に迫る。芸術家というよりも人間ゴッホを描いている印象。斬新な推測も思いつきではなく、一つ一つ根拠を提示して説明しているので説得力がある。その連続なのでミステリー小説を読んでいる気分になる。面白い。2017/12/23
かめりあうさぎ
48
初読み作家さん。新年早々にこんなにも素晴らしい本と出会えるとは。あの有名な耳切り事件の謎に迫るというノンフィクション。ミステリのような緻密さと、サスペンスのような緊迫感。耳切り事件の真実を見つける為に、一見関係なさそうなことでも徹底的に調査をする著者によって、ゴッホの切なくて悲しくてでも希望に満ちた人生が生き生きと浮かび上がってきます。途中からはもう本を読んでいるというより、側でゴッホのもがく姿を見ているような感覚になりました。本書を読む前と後では、ゴッホ作品の見方が変わります。2020/01/02
yumiha
46
ゴッホは耳たぶの一部を切った(原田マハ情報)のではなく、耳そのものを切ったと誌友さんに指摘されたので、本書で確かめた。著者バーナデッド・マーフィーは、7年かけて当時のアルル住民の15000人のデータベースを作成し、さまざまな資料と突き合わせてゴッホの真実に迫る!学者でもない方がそこまで調査されたことに全く驚いた。読み終えて、ゴッホは自分の気持ちをストレートな言葉や行動で現しただけであり、自分をよく見せようと行動したゴーギャンとは合わないだろうと推察した。それでも「大事に思っている」とテオへ書いた手紙。 2020/11/15
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