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内容説明
寄生=パラサイトとは生物が他生物から栄養やサービスを一方的に収奪する関係を指し、ノミのような外部(皮膚)寄生から内部(内臓)寄生まで、その形態は幅広い。なかでも本書はゴキブリを奴隷のように仕えさせる宝石バチや、泳げないカマキリを入水自殺させるハリガネムシ、化学物質を放出してアリの脳を支配し時期が来ると菌にとって最適な場へ誘って殺すキノコなど、恐るべき支配力を持つ寄生者を紹介。一見小さく弱い彼らが数倍から数千倍大の宿主を操り、時に死に至らしめる。地球の片隅で密やかに繰り広げられる生存戦略を報告。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
44
腹の虫、疳の虫,昔から人の感情を司るのは寄生虫とされていた。昔の人の洞察力と想像力に感心する。この本は主に動物に寄生する生物例を紹介。寄生虫が宿主をコントロールしてしまう現象が特に。ロイコクロリディウムという寄生虫。鳥のフンに卵がある。それをカタツムリが食べる。カタツムリの体で卵が孵る。カタツムリの触角が芋虫の様になり、普段鳥に見つからぬよう葉の裏側にいるが、寄生虫にコントロールされ陽のあたる方へ。で鳥にみつかり鳥に食べられる。寄生虫は最終宿主である鳥へ。 2018/01/21
トムトム
32
菌類・原虫・ウイルスなどによる宿主のコントロール。脳みそ乗っ取り大作戦!知っていた情報も面白く読める、巧みな文章でした。お子様が読んでも大丈夫なぐらいに、分かりやすく書いてあります。面白かった!2019/12/27
えっくん
30
★★★★☆以前読んだ「えげつない! 寄生生物」と同一著者とは知らず、既知の寄生生物が多かったのですが、本書は論文をベースに解説されているだけに詳しく知ることができました。寄生者がどのように宿主の生物学的な構造を把握し、思うがまま操れるようになったのか…その不思議な生態に驚くばかりです。宿主を生かさず殺さずただ自らの種の保存のためだけに遺伝子にプログラムされた恐るべき能力です。人類はコロナなどのウィルスとの闘いの歴史ですが、もしかしたら人類も知らないうちにウィルスに何かしら支配されているのかもしれません。2021/11/16
ポン
23
水中で繁殖するために、泳げないカマキリを入水自殺させるハリガネムシ。昆虫の体内を食べつくし、その体を苗床にするキノコ。一番えげつないと感じたのは、サムライアリ。産卵を控えた女王アリが一匹でクロヤマアリの巣を乗っ取り、女王アリを殺す時、何ヵ所も刺して体液を出し、それを自分の体に塗って、自分達の女王だと騙し、自分の世話、卵の世話、孵化した子供の世話をさせる。命を奪うだけではない。マインドコントロールして一生涯を搾取する。種の遺伝子をのこす為に、そうプログラミングされているのだろうが、したたか過ぎて恐ろしい。2021/09/30
こぽぞう☆
18
図書館本。新刊の棚より。面白くて一気に読んだ。生物学の研究所に勤めたこともある私には知っている話もあったが、最新の知見も載っているので、ワクワクが止まらない。2018/01/22