内容説明
人類の今後を占ううえで、「人類の経験のすべてがつまっている」といわれる古代ローマ史ほど、参考になるものはない。小さな都市国家を強大化に導いた、「共和政ファシズム」の熱狂的エネルギー。猛将・ハンニバルが率いるカルタゴとの死闘。カエサルとアウグストゥスに始まる帝政。地中海はもちろん、ブリテン島から中東にいたる「世界帝国」の現出。そして、ローマ帝国が終焉を迎えた時、古代文明はどのように変貌していたのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TS10
22
古代オリエント世界を制覇した三帝国の継承国として描かれる地中海帝国ローマの通史。流麗な筆運びもあって、とりわけ帝政までの政治史は楽しく読めた。ローマが興隆し、その広大な領土を長く維持し続けることのできた理由は、単なる「中庸」にとどまらずに、相反する原理を必要に応じて表出できたことにあったのではないだろうか。それらを一身に体現していたカエサルやディオクレティアヌスが偉大とされた所以である。そう考えるとき、帝国末期のキリスト教拡大の影響は、違った文脈で読むこともできるのではないかとも思った。2024/04/17
masabi
15
【概要】ローマ以前の帝国に始まり西ローマ帝国の滅亡までを描く。【感想】共和政から帝政への転換とその前後の時期がおもしろかった。武勲なしに頂点を極めたアウグストゥスについては別の本で深掘りしたい。時代を隔てているとはいえ共和政期と軍人皇帝時代は同じ民族かと疑わしくなるほど混沌の極みである。 2019/07/14
chang_ume
11
シリーズ中で異色の一冊。「ローマ面白人物伝」といったところか。古代ローマの興亡について、社会や経済の構造、または家族構成や芸術文化はほぼ語られず、主要人物のエピソードを時代順に並べた構成。合間に著者のエッセーめいた感想が挿入される。塩野七生本の短縮版という感じでしょうか。固有人名を把握する程度には役立つかもしれない。2020/01/09
ふぁきべ
8
たくさんのローマ史の本をこれまで読んできたが、ローマ帝国が題名にある本を見つけるとどうしても手に取ってしまう。内容的には目新しいところはなく、伝説上のローマ建国から西ローマ帝国崩壊までの長い歴史をこの400ページ程度に纏められているので、思い出しながらおさらいするにはなかなか良かった。最後にローマ帝国が崩壊した理由について簡単に考察しているが、これについてはもっと掘り下げてほしかったが、率直に言って歴史学者の手に負えるものではないような気が最近はしている→2017/11/07
miso soup
7
筆者の想像も入れ混じっている文章だった。ローマの概略を知れたと思う。2020/02/11