内容説明
三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
49
文庫にて再読(去年の個人的2位)。夢想も理想も何もかも密室に閉じ込めてーーラルース家殺人事件、真の完結。「密室殺人」というミステリ好きの魅力をくすぐる題材を大量死と絡めて論じる。真相を覚えてる再読でも覚えていても、心を過去に殺されたもの、ストーリー、密室、哲学すべてに圧巻。この本を読んだものは、密室と「英雄」に何を見る?再読でもこう思う。密室は閉ざされ、死が残る。密室は開かれ、愛が残った。2025/08/15
ALATA
45
本棚本再読。孤高の探偵、カケルとワトスン役のナディア・モガールがハイデガーの哲学思想に絡めて謎解きへ奔走する。1974年、パリで起きたダッソー家事件と1945年、ナチス収容所で起きた殺人事件。「How done it?」の極致といえる二件の密室殺人が三重構造になっていて脳が揺さぶられる。長くて読みにくいが30年の時を超え物理的手法によって謎が解き明かされる様はカタルシスを感じた★5※分厚い作品で、難しい哲学論争はあまり頭に入らず、でも読みたい…この感覚は京極堂シリーズに通ずるものがある(>_<)2022/04/07
勇波
45
圧倒的な読後感を残してやっと読了。難解な哲学部分は意外にも興味を持って理解できたような(?)気がします。(←自画自賛)う~む、憎っくきハルバッハ(←この程度…。。)しかし単なる密室を「特権的な死の夢想の封じ込め」にまでに昇華させる哲学理論には圧倒されます。あと矢吹駆とカドナス教授の探偵論は非常に興味深い。哲学部分も調子よく読むことが出来たのに、苦痛を感じさせるのがご存知ナディア嬢。なかでも犯人を思いっきり間違えた上「とんでもない疑いをかけたりして、ほんとうに申し訳ありませんでした」にはさすがのあたくしも呆2015/09/23
本木英朗
26
【矢吹駆シリーズ】第4作である。俺は今まで光文社ノベルスで大学時代に2回、社会人時代に1回読んでいた。今回は東京創元社版で改めて4回目を読み終えたばかりだ。やはり超いいよねえ、うん。さすが笠井潔である。特に二つの三重密室それぞれの解決とかが、凄くよかったよ、うん。まあ、とりあえず矢吹シリーズはこれで終わりかなあ。5作目や6作目はちょっといいかなあ、と思っている。というわけで次は『天啓の器』かなあ。2019/12/23
おうつき
25
シリーズ4作目にして1100ページ越えの大ボリューム。このシリーズは読み切るだけでも相当なエネルギーを消費するので耐えられるのか不安だったが、後半は一気読みするほど夢中になれた。哲学についての素養はほとんどないので今作の「死の哲学」については理解できたか微妙だが、探偵小説との結びつけ方が興味深かった。ジークフリートの密室、竜の密室の件は特に。ナディアがいてくれるおかげで難解な部分も大分飲み込みやすくなっている。密室トリック自体も面白かった。疲れるので少し先になりそうだが、5作目以降も読んでいきたい。2023/08/01
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