最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

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最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

  • ISBN:9784794222930

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内容説明

現代における最も危険な場所の一つが巨大システムの制御室である。 原子力発電所、ジャンボ機、爆薬工場、化学プラント、核ミサイル基地…… 技術発展に伴い、システムはより大きく高エネルギーになり、人員はより少なくて済むよう設計されたが、事故が起これば被害は甚大になる。巨大システムが暴走を始めたとき、制御室で人びとは何をするのか、何ができるのか。 最悪の事故を起こすシステムと、その手前で押さえ込むシステムとの違いは何か。 50余りの事例を紹介しつつ、巨大事故のメカニズムと人的・組織的原因に迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

55
最悪の事故が起こるまで人々は未然に防ぐチャンスを何度も逃していた。最悪の事故は偶然に起こる訳ではなく数々の警鐘、内部告発の末に起きています。スリーマイル島原発事故やチャレンジャー号の事故など50の実例で説明されています。ほとんどの場合、複数の失敗とミスが重なってようやく事故となるのです。しかし、人は失敗から学ぶことができます。本来無臭であるメタンガスに臭いをつけガス漏れに気付けるようにしたのは1937年のテキサス州の赤レンガ学校の爆発から得られたものです。2017/10/14

リキヨシオ

20
文明発展に貢献してきた「機械=マシン」が起こした起こるはずのない「最悪の事故」の原因は、機械を管理する人間が見落とした不具合の連鎖だという。人員不足、過剰労働、無計画、教育不足など小さな原因なのに機械を扱うからこそ生じた甚大な被害。今まで「機械=安心」という認識を無意識に持っていたけど、膨大なエネルギーを持った機械に囲まれて生活している事にもリスクだってあると考えさせられた作品だった。2019/06/24

きゃれら

11
西暦2000年までに大型機械の不具合や暴走で起きた大事故50余りを取り上げ、それがいかにして起きたが、何が原因か、どうすれば起きなかったかを丁寧に説く。スリーマイル、チェルノブイリの原発事故、チャレンジャー号の爆発、アポロ13号の事故などが世界的に有名でしょうか。飛行機事故も数多く取り上げられ「こんなに墜落してるのか」とちょっと怖くなってしまう。何十年も通しての事故を集めているんだから、怖がるのは間違いだけど。事故の当事者の視点で書かれた記述は、非常に読ませる。面白いというと語弊があるんだけど…。2021/12/11

CTC

11
17年草思社文庫、単行本は同社06年。長いタイトルが示す通り、18世紀の飛行船から原子力発電所やジャンボ機などの事故を扱っている(原著が2001年刊だから20世紀までの)。また近年日本でも頻発のブレーキ/アクセルの踏み間違い事例なども収録している(警察官による事故で、たった27m余の暴走で子どもが2人亡くなっている。これも“最悪”に違いない)。本書によれば米スリーマイル島原発は「40億ドル以上の損失となり、金銭的には米国最悪の工業事故」とある。福島は20兆とも70兆とも云われているけれども。2018/10/22

mawaji

9
ヒューリスティックな思い込みがスペースシャトル打ち上げにも影響を及ぼすのですね。「通常の人間が、ひたすら与えられた作業にはげみ、しかも格別な敵意をいだいていないような場合にも、恐ろしい破壊的行為の実行者となりうる」という一文を読むと、例の「アメフト事件」の学生さんを責めるのははやり酷なことなのでしょう。「相互の意思疎通がよく、自分の意見を堂々ということができるように訓練されていれば」この出来事は回避できた可能性が高かったのではないかと思われました。けっこう厚いけど個々の事例、するすると興味深く読めました。2018/06/06

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