内容説明
全集に未収録で、2003年以降に書かれたエッセイ・評論を中心に編むファン待望の1冊。3部構成で、個人的な書簡、短編小説なども交えながら、水俣からのメッセージを伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
66
渚、天、夢の3部から成るエッセイ集。タイトルの美しさと悲しさは、そのままチッソ以前の水俣の海と山、そこに生きていた人々の心根の美しさです。そして、それらを慈しむ作者の深い悲しみです。自然のどこかしこ、すみずみにまで宿っている神を敬う暮らし。その恵みに感謝し、分け合い支え合う暮らしの豊かさ。失ったものがどれほど大切なものだったか、水俣病がどれほど残酷なものだったか、作者の作品を読むたびに胸に突き刺さります。『風土の神々』のヒロム兄を見守る人々の温かさと、天草の山の中で出会ったおばあさんの言葉が好きです。2025/04/20
二戸・カルピンチョ
21
様々に発表されたものを纏めたもので、文章の長さや語り口、内容も様々で楽しめた。ヒロム兄やんという風変わりな青年が皆に愛されていた話が好きだ。石牟礼さんの目から見た世界なわけで、あまり引っぱられたり信じ込んではいけないと、なぜだかそんな風に思う。石牟礼さんの目になりきっては、これからの世界で生きるのは無理なんじゃないかって。ただ、ちょっとその視界をお借りして、読ませてもらって、心を撫でられるのは読書の醍醐味。2024/04/21
シュシュ
21
石牟礼さんの随筆をまとめたもの。知らないことは罪だ。水俣病患者の少女、坂本きよ子さんが手足をよじりながら桜の花びらを拾おうとしていたこと、川本輝夫さんがチッソの社長と向き合ったときのこと、水俣病を引き受けたたくさんの人たちのことをずっと覚えていたい。チッソの社長は、家族に「川本さんという人は立派な人だ。けして呼び捨てにしてはならない」と言ったそうだ。『もっとも惨酷なことは、往々にして文明的なよそおいのもとに行われるものだ』『なぜ人柱を立てた金を握って富裕層になりたかったのか』 改めて心にずしんと響いた。2017/11/08
カネコ
4
◎ p.269「今まで水俣が体験してきた五十年間のことは明日の皆さまの身の上でございますと。」2017/11/24
yuki
3
石牟礼さんの水俣への思いに何度も涙しました。今年も、「桜の花びら」を拾おうと思います。2018/01/31
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