内容説明
講和条約発効までの7年間は休戦であり、終戦後ではない。かすかに残る記憶を拾いフィールドワークを重ね、国全体が忘却したがるその事実を生活史視点で明かす意欲作。18歳からの戦後史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
6
研究としては異色の本です。1937年生まれの著者自身の占領期(1945-52)京都の記憶をたぐり寄せながら、関係者への聞き取り、史料の読み込みを通じて、この7年間とは何であったかを考えようとする、読者はそのプロセス自体に立ち会うことになります。建築や地理の研究者との共同によるものか、かなり具体的な都市空間に根付いた分析であることも印象的。三島の『金閣寺』論など、文学分析などにも多くの気づきがあります。それにしても、戦後京都に「非戦災感謝記念塔」なる計画があったとは少々げんなりさせられもします。2018/03/04
hitotak
4
500ページ超の大著を手にして若干怯みましたが、学術論文でありながら著者本人の進駐軍京都占領時の個人史と多くの京都人へ成された聞き取り取材が随所に挟まれていることで、読み物としても十分面白く読めました。進駐軍の犯罪を裁くこともできず、被害者への賠償をはじめとした進駐軍の経費は全て日本負担で、これが米軍への思いやり予算の始まりになっていること、プレスコードのためアメリカに不都合な記事はカットされるなど、占領期における戦勝国・敗戦国の関係性が今現在の日米間にも変わらず続いていることを改めて認識しました。2017/10/30
takao
0
京都の占領時代2017/11/30